“ふつう”を願う少女と、静かに染みていく絶望
- ★★★ Excellent!!!
1章を読み終えての感想です。
真澄ちゃんの抱える日常は、あまりにも静かで、あまりにも絶望に満ちています。
声を上げることも、助けを求めることも許されない。
そんな環境のなかで、ただひたすら息を潜めて生きようとする彼女の姿が非常に痛々しい。
それでも、隣人のおばさんがくれたクッキーや、ちょっとした言葉に心が揺れる真澄ちゃんがいて、けれど、それすらも罰せられる世界。
優しさが命取りになる、そんな構造が本当に怖かったです。
ラスト近くの声や異質な感覚には、ぞくっとする不穏さと同時に、どこか救いのような予感もありました。現実と幻想の境界がじわじわと崩れていくようで、続きを読まずにはいられません。
重たい題材ではありますが、描写は丁寧で、読者を突き放さない優しさもありました。次章がとても気になります。