虐待されている少女が主人公。
現代ドラマを丁寧に描いたホラーです。
日常を丁寧に描くから作品の質が高いんです!
でもそうなると「さくさくと読めないんじゃない?」って思っちゃいますよね。
それが、とても、読みやすい。
文章に雑味がなくてシンプルな描写で「すっと」頭に入ってくるんです。
そして落ち着いた現代ドラマ風味ですので、漫画のような極端な人物描写にならず、ちょっと現実味があるんです。怪しい教団もいい味だしています。
ダークで鬱屈してるけれど、胸糞悪くて読むのがしんどいっていう風にならないんです。
不思議です。
実はまだ1章しか読んでいないのですが、とても面白いです!おすすめ!
一章まで読みました。
この作品は、日常の息苦しさを丁寧に積み重ねることで読者の心を掴む、文学的な深みを持った作品だと感じました。
息苦しい、痛々しい、生々しい。その中にあるリアリティは、読者の心をつかんで離さないでしょう。
最大の魅力は「人が消えると記憶からも消える」という設定を背景に、少女の過酷な日常を描いた世界観です。
派手な事件ではなく、鍵の締め出し、空腹、孤立感といった「毎日の不快の積み重ね」でどんどん少女の気持ちに立って考えてしまいます。
一人称の短文と浅い呼吸のリズムで綴られる文体によって、主人公の息苦しさをそのまま追体験させられます。
近所のばぁちゃんとの小さな交流が差し込む「かすかな光」の描写も心に残り、絶望一辺倒ではない微細な希望の配置がまた憎い。その温かさが、きっと生への執着に繋がるんだろうなと思います。
象徴的なイメージと伏線の配置も見事で、第一章の段階で既に「忘却=社会的死」「記憶=存在証明」というテーマの輪郭が浮かび上がっています。
日常と非日常の境界線がきしみ始める緊張感は、静かながら強烈な読書体験を生み出します。
文学的ホラー好き、心理描写重視の方、そして社会の見えない暴力と個人の尊厳について深く考えたい方には絶対におすすめ。静謐でありながら心の奥深くに響く、忘れられない読書体験でした。
1章を読み終えての感想です。
真澄ちゃんの抱える日常は、あまりにも静かで、あまりにも絶望に満ちています。
声を上げることも、助けを求めることも許されない。
そんな環境のなかで、ただひたすら息を潜めて生きようとする彼女の姿が非常に痛々しい。
それでも、隣人のおばさんがくれたクッキーや、ちょっとした言葉に心が揺れる真澄ちゃんがいて、けれど、それすらも罰せられる世界。
優しさが命取りになる、そんな構造が本当に怖かったです。
ラスト近くの声や異質な感覚には、ぞくっとする不穏さと同時に、どこか救いのような予感もありました。現実と幻想の境界がじわじわと崩れていくようで、続きを読まずにはいられません。
重たい題材ではありますが、描写は丁寧で、読者を突き放さない優しさもありました。次章がとても気になります。
毒親、天涯孤独、施設、捨てたれた子供たち。この世には人を、世界を憎む子供たちが少なからずいると思います。
この物語に登場する主人公、真澄ちゃんは一気に家族を失い叔父に引き取られるところから始まります。
その生活は苦しくも悲しいもの。でもその中にも一筋の光があり、それに触れる真澄ちゃんには感情移入してしまいます。
そして、そんな少女にとあることがきっかけで深くなっていく闇。
プロローグから結末。そしてその結末に向かって少女、真澄ちゃんは向かっていくんだろうなと思うと、どうしてそうなったのかと「次どうなる?次どうなる?」と話数を重ねてしまっている自分がいました。
文章や構成やシンプルかつ情景が自然と頭に浮かんでくるので、一気読みできると思います!
暑くなってきた今だからこそ、よりオススメできる作品です。