全日本高校リモート野球選手権

夏川冬道

全日本高校リモート野球選手権実況


(N◯Kスポーツショー行進曲が流れる)

「さぁ、今年も全日本高校リモート野球選手権の時間がやってきました。実況は私、河野。解説は元リモート野球日本代表の宮本さんが来ていたいております。宮本さんよろしくお願いします」

「解説の宮本です。本日はよろしくお願いします」

「さぁ、本日の試合を観てみましょう。大阪代表の南海学園と神奈川代表の横浜明訓の試合です。両方県大会を勝ち上がってきた実力校です」

「好ゲームが期待できますね」

「甲子園よりは小さく、野球盤より大きいスタジアムの打席に1番の坂田が立ちました。坂田くんの将来の夢は鉄道の運転手になりたいとか」

「いい夢ですね」

「第1球打ちました!打球は伸びてヒットに入りました!」

「打球が上手いところヒットに入りましたね」

「リモート野球は守備の概念がありません。さて2番バッターの野村が打席に立ちました。休日は家族と釣りを楽しんでいるとか」

「野村選手は大阪予選でホームランを7本打った強打者です。ひょっとしたら一発があるかもしれません」

「さて、第1球打ちました! これは長打コースだ!ツーベースヒット!」

「やはり、野村選手の打力は凄いですね。バンバン長打を打てる選手はなかなかいないですね」

「3番バッターの大久保が打席に立ちました。大久保選手はサッカー将棋部と掛け持ちしていて充実した学校生活を送っているそうです」

「充実した学園生活を送っているようですね……私も高校時代はリモート野球とpongの二刀流をしていたからよくわかります」

「第1球打ちました!これはヒットだ!1回表の攻撃でランナー満塁です! ひょっとしたら満塁ホームランが出るかもしれません!」

「南海学園は打撃力が高いチームと聞いていましたがここまでだと思っていませんでしたね」

「リモート野球は守備の概念がありません! 横浜明訓は厳しい展開になりそうだ!」

「これがリモート野球の面白いところですね!」

「打席には4番バッターの景浦が立ちました。高校野球のシーズンになると毎日、甲子園に行っているほどの熱狂的な高校野球ファンだそうです」

「それはいいですね」

「さて、注目の打席です! 1球目打った! 打球はぐんぐんのびていく! これは満塁ホームランだ! 南海学園初回から一挙4得点! これが南海学園の通天閣打線だ!」

「大阪名物通天閣ですね」


「……1時のニュースです」

(仕事に戻る)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

全日本高校リモート野球選手権 夏川冬道 @orangesodafloat

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ