光の街

　都市は伝送線という、情報を光として流すケーブルで覆われている。伝送線は、透明な硝子体という物質で作られる。硝子体に自己増殖機能が付与されてから、伝送線は人間の手に負えなくなり、都市の主役は今や伝送線になっていた。伝送線の研究が行われていた施設には、増殖した伝送線によって構成された塔が生まれ、都市の中心はその伝送線の塔となっている。
　都市に住むカマドネコという名の少女は硝子体でできている。研究施設では伝送線の管理のために、硝子体に人間の遺伝子情報を流しこむ実験が行われていた。その際に生まれたのが、カマドネコのような、人間の形をした硝子体の存在だった。カマドネコは外の世界に興味を持って施設を抜け出すが、その間に硝子体の自己増殖機能が発明され、施設は伝送線に飲みこまれ、カマドネコは硝子体の仲間…続きを読む