# 第5章「月光の輝きと深まる謎」
## パート1: 月光、身を包む
ボルガンさんに月光銀を託してから、約一月。その間、僕たちは依頼をこなしながらも、どこか落ち着かない日々を過ごしていた。新しい装備への期待、そしてそれがどれほどの力をもたらしてくれるのかという想像が、常に頭の片隅にあったからだ。
そして、ついに約束の日がやってきた。僕たちは逸る心を抑えながら、再びボルガン工房の扉を叩いた。
「おう、来たか」
前回とは違い、ボルガンさんはすぐに顔を上げ、こちらを手招きした。工房の中央、頑丈な作業台の上には、三つの布がかけられた物体が置かれていた。僕たちはゴクリと喉を鳴らし、ボルガンさんが布を取り去るのを待った。
最初に現れたのは、ゴビーのためのものだった。
「こいつは、おチビちゃんの要望に合わせて作った、特製のダガーだ。一対。月光銀を芯材に、切れ味と軽さを追求した。刀身には、お前さんの妙な爪の力を増幅させる紋様を刻んでおいたぜ。まあ、気休めかもしれんがな」
ボルガンさんが差し出したのは、月光銀特有の青白い輝きを放つ、流麗なフォルムのダガーだった。ゴビーの小さな手に合わせたサイズで、装飾は少ないが、洗練された機能美を感じさせる。
「おおお! ゴビーの! かっこいいゴブ!」
ゴビーは目をキラキラさせ、早速ダガーを手に取る。その軽さと手に馴染む感覚に、満足そうに何度も頷いている。振ってみると、風を切る音が鋭い。
次に、ぷるなのためのもの。
「そっちの嬢ちゃんには、これだ。チョーカー。月光銀を細かく編み込んで、中央にはお守り代わりに小さな結晶を嵌め込んである。あんたの不思議な力とやらが、少しは安定するかもしれん。まあ、これも気休めだがな」
それは、銀色の繊細な鎖で編まれたチョーカーだった。首元で控えめに輝く小さな月光銀の結晶が、彼女の青い髪によく映えそうだ。
「きれい……」
ぷるなはそっとチョーカーに触れる。僕が首につけてやると、彼女は一瞬、不思議そうに目を瞬かせた。
「……なんか、あったかい……? ちからが、すーって……」
「ほう……?」
ボルガンさんが興味深そうに眉をひそめる。どうやら、魔力や彼女の特殊な体質に、良い影響を与えているらしい。
そして、最後に僕のもの。
「お前さんの親父さんからもらったとかいう短剣は、これだ。刀身は月光銀を使って打ち直し、強度と切れ味を格段に上げた。バランスも調整済みだ。柄には、滑り止めの革を巻き直し、お守り代わりにお前さんの妙な宝珠とやらが反応するかもしれん古代文字(ルーン)を刻んでおいた。まあ、これも気休めだがな!」
ボルガンさんはぶっきらぼうに言うが、その言葉とは裏腹に、差し出された短剣は明らかに以前とは別物になっていた。月光銀によって再構築された刀身は、鋭さと共に、どこか神秘的な輝きを帯びている。柄に刻まれたルーン文字は、僕には読めないが、握ると宝珠が微かに反応するような気もする。
「……すごい……。ありがとうございます、ボルガンさん!」
僕は生まれ変わった相棒を手に、心からの感謝を述べた。
「ふん、礼には及ばん。最高の素材には、最高の仕事で応える。それが職人ってもんだ」
ボルガンさんはそっぽを向きながらも、口元には僅かな満足感が浮かんでいた。
「ただしな、忘れるな。そいつらはただの道具じゃねえ。お前らの力の一部だ。使いこなせなければ、宝の持ち腐れだぞ。素材に、そしてその力を引き出す自分自身に、常に感謝と敬意を払え。いいな?」
「はい!」
僕たちはボルガンの力強い言葉に、改めて背筋を伸ばした。
輝く月光銀の武具を手に、僕たちはボルガンさんに深く頭を下げ、工房を後にした。工房の外に出ると、陽の光を浴びて、新しい装備が一層輝いて見えた。
「へへ、ゴビー、最強だゴブ!」
ゴビーは新しいダガーを構え、軽やかにステップを踏む。
「ぷるなも……なんか、へいき……」
ぷるなはチョーカーに触れながら、いつもより少しだけしっかりとした足取りで歩いている。
僕も、生まれ変わった短剣の確かな重みと、柄から伝わる微かな宝珠の気配に、新たな力が漲るのを感じていた。
月光の輝きを身に纏い、僕たちパーティ「サンライト」は、新たなステージへと踏み出す準備を整えたのだ。
「乙女化の宝珠を手に入れた僕が、最凶ダンジョンを攻略してしまう件について」 〜モブ冒険者だった俺が、最強パーティーに引っ張りだこになるまで〜 人とAI [AI本文利用(99%)] @hitotoai
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