岸亜里沙

地球上で一番深い穴は旧ソビエト連邦(現在のロシア)が、コラ半島で研究のために掘った12,262mだと言われている。

科学技術が発達した現代であっても、これ以上の深度に達するのは、至難の業らしい。

人類は地球上のあらゆる場所を探検し、調査し、研究し、そして宇宙へと目を向けているが、深海や地中などの知識は、ほぼ無に等しい。

つまり人類は地球の深部については無知なのだ。

少し脱線してしまったが、話をコラ半島超深度掘削坑に戻すとしよう。

現在、このコラ半島の掘削坑の穴は溶接で閉じられ、放棄されてしまったのだが、つい先日、ある研究者チームがこの穴を再び開けようと試みた。

科学的にも意義のあるものであり、もしも更なる深度まで掘り進める事が可能であれば、新たな発見があるかもしれないと。


ここからは現場に立ち合った研究者の一人から届いたMailを翻訳、編集した内容になるので、信憑性は定かではないが、フィクションとして読んでいただけたら幸いだ。



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From:ハビエル・ドヴィツク

宛先:岸亜里沙

日付:2025年3月9日(Sun)15:14

件名:掘削坑調査報告の顛末


2月下旬、私たち13人の調査チームはコラ半島の掘削坑へと辿り着いたのだが、現場は瓦礫が散乱しており、穴を探すのも一苦労だったが、なんとか発見出来た。

直径23cmのボーリング坑と聞いていたが、それ以上に小さく感じた。この小さな穴が40,000ft以上の地下へと通じているのかと想像すると感慨深いものがある。人類が未だに解明出来ない地球深部への直行便なのだから。

さて、私たち調査チームだが、穴を発見したので、早速溶接され封印された穴の蓋を取り外す作業に取りかかった。そして数日内にその蓋を取り外す事に成功したのだ。目の前に出現した穴を、皆がじっと眺めた。地中探査の興奮を抑えるのに必死だったのを、よく覚えている。

しかしこの調査は5日間で打ち切られた。

理由は簡単だ。トラブルが発生したからに他ならない。都市伝説で語られているような、穴から地獄の叫びが聞こえるといった事は無かったが、更に恐ろしい事があったのだ。

調査4日目の昼に、穴の中から信じられないものが出てきた。それは真っ黒な昆虫のような生物。岩よりも固い表皮に、熱湯のように熱い体温を纏い、鋼のような翅で空中を高速で飛び回る様は、まるで弾丸のようだった。

パニックになりながらも、私たちはその未知の新種の昆虫を穴へと誘導できたので、なんとか助かる事が出来たが、仲間の1人が昆虫と接触し、指が抉られてしまった。

地底には、未知の危険な昆虫生物が大量に潜み、地殻の中を蠢いているのだろうか。そう考えると宇宙よりも、この地球上の方が、遥かに危険なのかもしれないと私は考える。

ロシア政府から箝口令が出されてしまったので、君にこの調査報告を秘密裏に送る。確認したら消去をしてくれ。


Удачи!



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岸亜里沙 @kishiarisa

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