第10話:さよなら、バグ使い——そして、新世界へ
魔王ヴァルダスが消滅した翌日。
王都の空は静かに澄み渡り、人々は久々の平穏をかみしめていた。
だが、その裏で、世界の"再構築"が始まっていた。
《システム通知》
【メインAI削除完了】
【新たな管理者:“勇者アレク”に移行】
【バグ使い:神原ツカサ——排除対象Sランクに指定】
「……きたか」
戦いは終わってなどいなかった。
魔王を倒したことで、今度は“勇者”が新たな世界のシステムそのものになったのだ。
そして俺は、この世界にとって最大の“異物”とされた。
城の広間に現れたアレクは、もはや人間というより、システムの化身だった。
瞳は無感情に光り、背後には無数のエラーログのようなコードが漂っている。
「ツカサ。君は、この世界にとってもはや必要ない」
「必要ない、ねぇ……それ、俺が一番言われたくないセリフだわ」
俺のスキルは次々と封じられていく。
【無限コンボ】【データ改変】【バグリンク】——全て、使用不可。
もう、世界は本気で俺を消しにきている。
「だったら——俺たちが、この世界を作り変える!」
そう叫んだのは、ギルだった。
あの脳筋が、拳を高く掲げながら言い放った。
「師匠は“バグ”なんかじゃねぇ! 俺たちにとっての、“希望”なんだよ!!」
フィオナも、背後から続ける。
「あなたがいたから、私は変われた。この国も、きっと変われる!」
2人の叫びとともに、俺の目の前にウィンドウが表示される。
《リンク許可》
【ギル → ステータス共有】
【フィオナ → 魔力ネットワーク接続】
【条件達成:新たな法則を定義可能】
「おいおい……マジかよ」
俺のステータスに、新たなスキル欄が追加される。
《創造プログラム:GOD.EXE》
【効果】
世界の基幹コードを書き換える。
全ユーザー影響対象。
使用回数:一度限り
「世界のコード……書き換えるってか」
「やるのね、ツカサ」
「ああ」
俺は“最強のバグ使い”として、最後の命令を叩き込む。
【新たな法則を入力してください】
ウィンドウに、ぽつんと点滅するカーソル。
たった一行の命令が、世界の全てを変える。
俺は悩んだ末、こう書いた。
「すべての存在に、自由な選択権と、制限なき可能性を」
Enterキーを押す。
空が光に満ち、地面が再構成されていく。
フィールドの法則が書き換わり、“ステータス”や“ジョブ”といった概念が、自由に変動できる世界へと変化していく。
魔法も、技も、種族も、すべては個人の“意思”で決められるようになった。
だが——
「ツカサ……!?」
俺の体が、徐々にノイズと化していく。
ああ、そうか。
この世界の再構築が完了すれば、旧システムに属する存在は消える。
つまり、バグ使いだった俺も——
「お前ら、ありがとな」
俺はフィオナとギルに背を向け、空を見上げた。
「これからは、バグがなくても、面白い世界になるといいな」
数ヶ月後。
ツカサがいなくなった世界は、新たな秩序のもとで動き始めていた。
誰もが自由に、自分だけの力を選べるようになり、差別や階級も次第に薄れていった。
フィオナは王政を改革し、ギルは新人冒険者の教官に。
そしてときどき、誰かがこう呟く。
「最近、たまに変なスキルが勝手に発動するんだよな……」
「俺も。“エモーションバースト”とかいう、ステータスにない技が使えたぞ?」
そう、どこかでまだ、ツカサの“バグ”は生きている。
──別の空間。
真っ暗な中、ひとつのウィンドウが浮かぶ。
《USER:HAYAMI_REI》
《ステータス:観測者》
《ログイン完了。再アクセス、可能》
「……また、バグらせてやるか」
≪≪≪≪≪ SYSTEM MESSAGE ≫≫≫≫≫
✨シリーズ完結!ありがとうございました!✨
“バグ使い”神原ツカサの物語は、これにて完結です。
壊し、繋ぎ、そして託された世界——
それはもう、誰かの意思で動く“プログラム”ではありません。
もし、この物語に少しでも心を動かされたなら、
☆評価とフォローで感想を届けてもらえると嬉しいです。
あなたのその一票が、物語のラストログに刻まれます。
≪≪≪≪≪ END OF MESSAGE ≫≫≫≫≫
【番外編もよろしくお願いします!】
●バグ技、日常生活に使ってみた ~俺の家がまた壊れました~
https://kakuyomu.jp/users/yuzutone/news/16818622173145987935
・あらすじ
異世界最弱ジョブの俺、神原ツカサは――バグ技で日常すら最適化!?
パンでギルドを埋め、洗濯で空間を爆破、ついには世界システムすら巻き込んだ便利な日常革命が始まる!
最弱ジョブなのに俺だけバグ技使い放題!~無限コンボで異世界ぶっ壊します 柚子 @yuzutone
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