私の春、こい
奏流こころ
第1話
地味からの卒業。
心機一転。
いも臭い私はもういない。
高校生となった私は、地元を離れて高校の寮で暮らし、そこから通う。
徒歩10分、近い、ありがたい。
高校デビューじゃないけれど、恋は絶対だと思って、期待に胸をふくらませている。
イケメンじゃなくてもいい、運命の出会いに憧れているから。
例えば、そう。
教室に向かって廊下を歩いているが、曲がり角でぶつかって…なんて、少女漫画みたいなベタなシチュエーションなんか起こるわけがない。
そう思って曲がったら。
ドンッ
「痛っ」
なんかぶつかった。しかも、その弾みで尻もちついた。
めちゃくちゃお尻が痛い。泣きそう。
「大丈夫!?」
手を差し伸べられたから、その手を借りて立ち上がる。
「だ、大丈夫です…」
あら?
私はその人をまじまじと見た。
背が高い、肩幅あってガッチリ、ラグビーとかアメフトとか柔道とか、体格を活かしたスポーツをやってそう。
太眉で、優しそうな顔。
「えと、どうしたの?」
ハッ!!我に返る。
「いえ、ごめんなさい!」
勢いで謝った。
妄想していたから、周りを見てなかったし。
「いやいや、走って前見てなかった俺が悪いから」
…ドキドキ…
うん、してる。
「本当にごめんね」
「あの」
ここを逃すと、いつ会えるか分からない。
意外と大きい学校だから。
「お友達になりたいです」
すっと出た言葉。
突然だから相手は戸惑っている。
でも、伝えたくてどうしようもなかった。
彼は数十秒考えた後、こう言った。
「連絡先、交換してもいい?」
やった。第一歩。
「はい、喜んで」
連絡先を交換した。
そして私達は別れた。
私達はやり取りの中で自己紹介をした。
始まった。
私の春、こい。
私の春、こい 奏流こころ @anmitu725
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます