ドタバタなのに、なぜか完成度が高い――!“布団と一緒にお父さんが圧縮される”という冒頭から、もうツッコミが追いつかない奇想天外ワールド全開。大真面目な筆致で描かれるナンセンス劇が、逆にじわじわ笑いを誘うのが見事です。社会風刺と不条理ギャグの絶妙なバランス、そして最後までテンポを落とさない構成力。昭和テイストのSFパロディとしても秀逸で、短編ユーモアの“お手本”のような一作でした。
はたから見ると笑ってしまうけど、そちらの世界では深刻なんだ……という作風なので、思う存分愉しみました。誰かがボケたりツッコんだりしていません。だってみんな本気だから。本気で生きているから。
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