第16.0章:エピローグ:水槽の光、未来の夢

ボルネオ島から帰国して数日後、

私たち4人は部室に集まり、

検疫を終えたサリバトールが泳ぐ水槽を囲んでいた。

サリバトールの小さな体が、

部室のフグたちと一緒に元気に泳ぐ姿は、

まるで私たちの夢が形になった証のようだった。

水槽のぶくぶくと響く音が、

静かな部室に温かなリズムを刻み、

夕陽がガラスに反射してキラキラと輝いている。

私はその光を見つめながら、

入部した日から今までの出来事を

一つずつ思い出していた。

「私、最初はただフグが可愛いってだけで

アクア部に入ったんだ…。」

水槽の前で初めてアベニーパファーを見たときのドキドキ、

失敗しながらも命の大切さを学んだ日々、

海月先輩や凜さん、美咲ちゃんとの出会い。

ボルネオ島のジャングル、

サリバトールを採った瞬間の歓声。

そして、クラウドファンディングで

みんなが私たちの夢を応援してくれたこと。

セーラー服を着た海月先輩の姿が

部室をキラキラと彩ったあの瞬間も、

今では宝物のような記憶だ。

「夢が叶った今でも、

もっともっと頑張りたい!

アクア部で、もっとたくさんの命と向き合いたい!」と

私は心の中で強く呟いた。


海月先輩が気だるそうに水槽を眺めながら、

口元に微かな笑みを浮かべた。

「ふくと俺との夢だからな。

サリバトール採れた今でも、

絶対に忘れない。

約束だ。」

その声には、

気だるさの中に深い優しさが滲んでいて、

私の胸が熱くなった。

夕陽が先輩の金髪に反射し、

まるで水槽の水面に映る光のように、

彼の姿が一瞬キラリと輝いた。


美咲ちゃんがそっと私の手を握り、

控えめに呟いた。

「…ふくがいてくれたから、

私、bốに『ごめんね』って言えたんだ。

ムブを見つめるたびに、

過去の後悔が蘇ってたけど…

ボルネオ島でサリバトールと向き合って、

ちゃんと前に進めた気がする」

彼女のショートカットの髪が夕陽に揺れ、

頬に光る小さな涙が、

まるで水槽の水滴のように輝いていた。

私は

「美咲ちゃん…!

私も、美咲ちゃんがいてくれたから頑張れたんだよ!」と

勢いよく言うと、

彼女の手をぎゅっと握り返した。


凜さんがフードの下から静かに呟いた。

「…ふくとくらげの夢が、

俺の過去の傷を癒してくれた。

サリバトールと再会できたボルネオ島で、

やっとトラウマを乗り越えられたんだ」

彼女の声には、

いつもの冷静さに加え、

ほのかな温かみが混じっていた。

フードの奥で、

彼女の瞳が夕陽に照らされて一瞬輝き、

まるでサリバトールの鱗が光を反射するように、

静かな強さが感じられた。


海月先輩との夢が、

私たち全員を変えた。

過去の自分と向き合えた凜さんと美咲ちゃん。

クラウドファンディングでセーラー服を着た先輩が、

部室に新しい風を吹き込んでくれたあの瞬間。

すべてがこの部室から始まったんだ…。

私は水槽を見つめながら、

心の中で呟いた。

「アクア部が大好き。

夕陽が水槽のガラスに反射して、

キラキラと輝くこの場所が、私の宝物だ。」

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(旧作)アクア部のふく たんすい @puffer1048

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