『保安検査』

「なんで通れないんですか」

 体格のいい保安検査員に止められ、僕は声を荒げた。

 ロサンゼルス行きの空港。予約した便の出発時間は迫っている。

 困った。

 バッグの中身は全て見せた。もちろん、怪しい物などひとつとして入っていない。

 それでも検査員は通してくれない。

「手荷物検査は問題無かったんですよね?」

 検査員は首を縦に振る。

「パスポートだって有効ですよね?」

 また首を縦に振る。

「じゃあなんで」

「相応しい格好をしてください」

 毅然とした態度でそう言われ、僕は渋々服を着た。

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