白鳥翔は、才能に恵まれていながら、人とうまく関われない青年です。
仲間から離れ、恋人にも去られ、病を抱えながらも、それでも走ることをやめません。
読ませていただいて、「どうしてここまで追い込まれてしまうのだろう」と感じる場面が何度もありました。
けれど、その不器用さや弱さがとても丁寧に描かれていて、人としての実在感が強く残ります。
ときには苛立ちを覚える瞬間さえありましたが、それも含めて“きれいごとではない人間”かなってイメージでした。
最後の箱根駅伝の場面(私が好きなのはシーン182と185)は本当に印象的でした。
もう体は限界なのに、それでも前へ進もうとする姿を、ただ見守るしかありませんでした。
妹の再会も短いシーンながら、とても深く刻まれています。
駅伝に詳しくなくても、ひとりの人間の生きざまを追う物語として、多くの方の胸に残るのではないかと思います。
いい物語をありがとうございました。