トリさえくれば大団円

みちのあかり

トリさえくれば大団円

【前回までのあらすじ】

 あこがれの書籍化を夢見るみちのあかり。ある日トリの降臨の夢を見た。

 それは悪夢としか言えない夢。さらに10回見ると書籍化作家としての夢が潰えてしまう呪いの悪夢。

 5回目でカクヨム運営に問いただし、10回目の夢をみる前にKACの皆勤賞をクリアし、トリのストラップを手に入れることが呪いを解く唯一の道と知った。


 これはKAC皆勤賞を目前にしたみちのあかりの奮闘の物語である。


〈前回の話 悪夢―トリの降臨― https://kakuyomu.jp/works/16818622171039906435 〉






 あの夢を見たのは、これで10回目だった。

 5回目に電話で情報を得た後、俺はKACのお題を待っていた。


『おひなさま』

 お題に沿って書き上げる前に、6回目の夢を見た。あと4回しかない。

https://kakuyomu.jp/works/16818622170367164050 


『あこがれ』

 7回目の夢を見た。必死でなんとか書いた。

https://kakuyomu.jp/works/16818622170591082018


『妖精』

 8回目の夢を見た。もういいかげんでいいや。無茶苦茶な話だが書き上げた。


『あの夢を見たのは、これで9回目だった。』

 9回目の夢を見た。内容が一致している。そのまま書いた。




 そして5回目のお題が来た。

KAC2025 ラスト第5回お題 三題噺『天下無双』『ダンス』『布団』


 なんじゃそりゃぁ! ここにきて三題噺だと!

 くらっ、と頭から血が引き、一瞬気を失った。

 そしてその永遠のような一瞬で、10回目の夢を見たというわけだ。



 夢の中ではトリが降臨し、俺を絶望に落とそうと声をかける。


「ふはははは。これで10回目だな。まあ、儂がこうして来なくとも、貴様程度の物書きなどハナから書籍化などできまい。いつまでも夢にしがみつかぬように引導を渡してやろう。ふわあははははは」


 邪悪なトリの声が俺の頭を痛めつける。


「今日はどこから食べてやろうか」


 絶望で動けない。そこに奴がやってきた!


「待て! 貴様の呪いは俺が砕く!」


 二作目の主人公の運び屋、のちの勇者が俺の目の前に立っていた。


あるじが倒れたら俺の物語も消え去る。だからあきらめるな! 秘儀、『天下無双剣』」


 本編でも描かれなかった剣技をここで披露した。いいのか? こんなお題回収で。


「なかなかやるな。しかし、その技は一撃必殺の剣技。お前の体力を全て奪う技。次の攻撃は残されていないのであろう。餌が二体になっただけだな。うひゃひゃひゃひゃ」


 トリの邪悪さが増した。


「すまぬ主。ここまでだ」


「これを食べるのよ!」


 第三作目の妖精が、お麩がたんまりと入った力うどんを差し出した。


「小麦・小麦・米。炭水化物三点盛りよ。これで体力回復を!」


 勇者は一気に平らげると、もう一度天下無双を放った。


さすがのトリも二度の必殺技をかけられては、平気なままでいることができない。


「うぐ・・・ぐ・・・。ただでは死なぬ」


 トリの体から邪悪な瘴気が湧き出した。


「まかせるのじゃ」


 第一話のひな人形が現れ、見事な歌と踊りで瘴気を払った。

そう。見事なヒナダンス&ソングでこの危機を乗り切ったのだ。


「ぐぬぬ。もうじき儂の命が尽きる。その前にお前たちを押しつぶしてやろう」


 巨大な体が俺たちに向かって倒れてきた。


「エルエムエスサイズ。我は求め訴えたり」


 聞きなれた呪文がトリを襲った。巨大なトリが手のひらに乗るサイズまで小さくなった。


「あれ? 僕は何をしていたんだ?」


 トリが可愛らしい声で聞いてきた。


「そうだ。僕はAIに取り込まれて・・・君たちが助けてくれたの?」


 どうやらトリは被害者のようだった。


「これで終わったのか?」


 雛人形、勇者、妖精、そして俺は顔を見合わせ大声で叫んだ。


「「「終わった~!」」」


 抱き合い、肩を組んで喜んでいる俺たちにトリが言った。


「まだです」


「「「え???」」」


「今は呪いが収まっているだけです。確実に止めないと!」


「どうすればいいんだ」


「トリのストラップを手に入れ、あなたが布団に入った時に枕元にそれを置くのです。その時『カクヨム最高』と呪文を放つのが呪いの最終解除なのです。お願いです。必ず実行してください。第二第三の呪いのトリが現れる前に。あっ、転売品買ったら呪いが強くなるからね。転売禁止だよ。みんな聞いてる? 転売禁止。買うのも禁止。わかった? 約束だよ~!」


 そう言い残しトリは消えていった。



「という風にトリから頼まれたのです。トリのストラップをください。金なら払います」


 俺は今までの出来事を運営に電話で話した。


「大丈夫ですか? 少しお休みなされた方がよろしいのではないでしょうか。・・・ご質問の件ですが残念ですがお売りできません。トリのストラップはKACの皆勤賞を果たした皆様の中から抽選で100名に当たるものです。いくらお金を積まれてもお譲りすることはできません」


 取り付く島もない・・・


 だから俺は書き続ける。トリを手に入れ呪いを解くために。


 運営様、見てる? トリのストラップください!

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トリさえくれば大団円 みちのあかり @kuroneko-kanmidou

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