デスゲーム ✕ デスノート =

水城みつは

君の名は

 あの夢を見たのは、これで9回目だった。


 既視感のある夢だった。

 しかし、最近は夢の内容をはっきりとは覚えていない。


 私はベッド脇のペットボトルをあけ、ぬるくなった水を飲む。


 まったくもってスッキリしないが、あらためて部屋の中を見回した。

 小さなテーブルの上には開けられた酒瓶と睡眠薬、そして、一冊の黒いノートが置かれている。


 既視感はあるが見覚えのないノートだ。ノートには八人の名前が書かれていた。

 一番上には牛島エイゴと名は体を表すかのように大きく書き殴られた文字が見えた。


 彼が最初の犠牲者だ。


 俺達十人はとあるキャンペーンにより招待された。

 そして、船で一泊してたどり着いたのが、この絶海の孤島にあるペンションだった。


 ……牛島を最初の犠牲者と言ったな、あれは嘘だ。

 誰も指摘することはなかったが、船に乗ったのは十人、この島に降り立ったのは九人だった。

 今となって思えば船の中で牛島と口論していた根津見とかいう奴が降りてきていない。

 恐らくは奴が最初の犠牲者だったのだろう。


 二人目の犠牲者は虎谷とかいう気障な男だった。

 女性陣の参加者に粉を掛けまくっており、私も苦手なタイプだった。


 その次には虎谷に付き纏われていた兎月という女性が物言わぬ姿となって発見される。


 絶海の孤島での連続殺人事件、その頃には僕達は疑心暗鬼となっていた。


 既に今が現実なのか夢の中なのかもわからなくなっている。できれば今が夢であって欲しい、


 ノートの最後、八人目には猿渡と書かれている。

 こいつは私が『鳥野隆臨』と書かれた名刺を渡した際に「トリの降臨」と小馬鹿にしたように笑った野郎だ。

 ちなみに、隆臨と書いて『たかおみ』と読む。小学生の頃に同じようにからかわれてからトラウマとなっており、普段は隆臣の字を使用している。


 いや、隆臨を降臨と間違ったくらいでそんなに怒るとは思わなかったんだ。

 それに、ヘラヘラしているように見えるのは生まれつきだ。


 極限状態となっているためが思考がまとまらない。

 フラフラと立ち上がり、鏡に映った神経質そうな顔を見た。


「私は誰だ?」


 船の上から驚いたように見下ろす牛島の顔が浮かんだ。

 私は……黒いノートに丁寧に名前を書きこむ、鳥野隆臨と。

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