9回目で終わらせたい
遥 述ベル
私に残された道はこれしかない
あの夢を見たのは、これで9回目だった。
1回目はファンタジア大賞一次。
初めてで自信しかなくて、周りなんて見ていなかった。
客観性の欠片もなかった。
ただ落ちた。
理不尽でもなんでもない。
当然の結果だった。
2回目はGA文庫大賞一次。
この間はまぐれで落ちたなんておちゃらけたことを考えた。
通過した。
3回目はGA文庫大賞二次。
ここも通過したらどうしようなんて馬鹿なことを考えた。
落ちた。
夢を見るにはまだ早いと思った。
4回目は小学館ライトノベル大賞一次。
今までで一番の出来だと豪語した。
落選した。
自分の自信という言葉になんの信頼も置けないことが分かった。
5回目は講談社ラノベ文庫新人賞一次。
一次を唯一通過した作品を改稿して挑んだ。
より良い出来になったのだからおそらく通るだろう。そんな算段だった。
落ちた。
自分が成長したところで周りの成長についていけないと痛感した。
6回目はオーバーラップ文庫大賞一次。
落ちた。
多分ダメだろうなんて思っていた。
そんなだからダメなのだ。
自信があってもなくてもダメ。
一体どうしたらいいんだろう。
だけど、評価シートを見て前を向いた。
やるしかないのだ。
7回目はカクヨムコン中間選考。
どうせ無理だとか読者選考に縁は無いと予防線を張っていた。
短編が二作品通過した。
想定していない作品が通過したことに驚きつつも、期待していた作品は通っていないことを意味した。
長編は思い入れのある作品。
まだ足りないとは分かっている。
星の数とかそんなことではなく、シンプルな作品としての実力のことだ。
8回目はカクヨムコン最終選考。
さすがに倍率が厳しい。
中間を通過できただけでもすごいことだ。
満足しようとする。
だけど、少なからず夢は見てしまうもので選ばれたらどうしようなんてまた性懲りもなく妄想する。
カクヨムネクストでの連載に忙しくする自分 。
お気楽星人か何かだろうか。
9回目は角川ビーンズ小説大賞一次。
今まさに取り組んでいる作品だ。
ここ最近、自身の成長を実感している。
今の自分ならと思っている。
今回から作品への取り組み方も変えてみた。
もしかしたらもしかするかもしれない。
もしかしてほしい。
私はこの道しかないのだ。
諦めるなんて選択肢はない。
怖い。
今ここに無職の自分がいる。
迷惑ばかり掛けている。
将来、自殺してこの世を去る。そんな光景がチラつく。
怖い。
恩を返さないといけない人が沢山いる。
私の人生に関わってくれた人が沢山いる。
私はそれに報いたい。
喜んでもらいたい。
それができなかったらどうしよう。
怖い。
でも、怖くてもやらなければならない。
私は受賞する。
私は人のためになれる作家になる。
私は人間として独り立ちしたい。
最後に勝つ。
最後に笑う。
どうかこれが最後でありますように。
そう願って筆をとる。
9回目で終わらせたい 遥 述ベル @haruka_noberunovel
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