何度もアイドルになる夢を見て
にゃべ♪
夢を叶えるトリ
あの夢を見たのは、これで9回目だった。その夢とは、アイドルになる夢。夢の中の私はアイドルになっていて、多くのファンから応援されている。そう、それが私の夢――。
ずっとこの時間が続けばいいのに、目が覚めると現実に戻ってしまう。
「やっぱ夢かぁ……」
勿論夢を見るだけじゃなくて、夢に向かって努力もしてる。体型維持は当然だし、歌やダンスも自己流だけど練習してる。良さげなオーディションにも手当り次第応募してるけど、全部書類審査落ち。
繁華街を歩きまわってみたけれど、スカウトもされない。今どきはコンプラ的に路上スカウトはアウトなのかもだけど。
自己プロデュースと言えばネットで顔出し配信とかもあるけれど、やっぱそれは怖い。変な人が近付いてくるかもだし。
アイドルになるにはどうしたらいいんだろう。やっぱオーディションを受けまくるしかないの?
「ここは神頼みかなあ」
私は願いが叶うと言う神社にやってきた。ここで必死に祈れば夢が叶うらしい。賽銭箱を前にした私は必死に手を合わせる。
「神様! 私の夢を叶えて! お賽銭も奮発するので!」
「いい心がけホー!」
祈りが通じたのか、私はこの神社の御祭神のトリの降臨を目の当たりにする。
「最近はボクを信じる人もいなくなって淋しかったホ」
「神様! 私をアイドルにして!」
「分かったホ!」
トリは私の願いを秒で受け入れてくれた。ちなみに、正確に言うとトリは神様の使いらしい。私にしか見えない存在かと思いきや、周りの人達にもバリバリ見えていた。
「どうやってアイドルにしてくれるの?」
「それは勿論、営業ホ!」
トリはマスコミに自分の存在を売り込み始める。喋るぬいぐるみのような不思議な存在は一気に世間の注目を浴びた。私はトリの相棒と言う事で、トリが出演する時にはいつも一緒に出演した。バーターってやつかな。
トリは割と毒舌だったのもあって、バラエティ番組に引っ張りだこ。私もここぞとばかりに必死で愛想を振りまいた。可愛い服を着て可愛いいメイクをしてあざとい喋り方なんかもして。
そのおかげで、トリ目当ての子供達からトリのお姉さんと呼ばれるようになった。今の私は子供達のアイドルだ。まずはここからスタートだね。
何度もアイドルになる夢を見て にゃべ♪ @nyabech2016
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