大就職面接 ~妖精vs人間~
ペーンネームはまだ無い
第01話:大就職面接 ~妖精vs人間~
「弊社の採用面接にお越しいただきありがとうございます」
応接テーブルをはさんだ向かい側のソファには、面接担当官の妖精が座っている。
手の平サイズで背中に羽を生やした、いかにもバリキャリの妖精だ。
「それでは簡単に自己紹介をお願いします」
「はい。木村翼と申します。22歳、人間です」
そういうと妖精が目を見開いた。
「え、あなた、人間ですか?」
「はい」
「河童かと思っていました。頭にお皿ありますし」
「ハゲてるだけです」
「相撲も強そうですし」
「デブなだけです」
「尻子玉を抜いたりしそうな顔してますし」
「どんな顔ですか」
この妖精、失礼だな。
妖精がひとつ咳払いをして質問を続ける。
「それでは、なぜ弊社を志望したのか伺えますか?」
「はい! 私は子供のころから妖精になりたいと夢見ており――」
「もっと現実的な夢を見たほうが良いですよ」
「妖精がそれを言うんですか」
「最近は妖精だって現実的な考え方が求められています」
「そうなんですか?」
「はい。最近は妖精も時代の波に乗らないと生きていけません。AIとかコンピューターとかファミコンとか」
「何か時代の波に乗れてないものありませんか」
「いえ、これがナウなヤングにバカウケなんです」
「絶対、時代の波に乗れてませんね」
このまま妖精のペースに乗せられてしまってはマズいと思い、攻勢にでることにした。
「とにかく、私はやる気だけなら誰にも負けません! 私は、絶対に、絶対に妖精になりたいんです!」
「どうして妖精になりたいのですか?」
「この体に妖精を降臨させて空を飛びたいんです!」
「飛びたいのならトリでも良いじゃないですか。トリの降臨ではダメなのですか?」
「それは……」
私が口籠ると、妖精が飛び上がり、腕組みをして私を見下ろした。
「あなたは妖精に夢を見ているようですが、妖精は半端な気持ちでできる仕事ではありません。おおかた周囲の意見に流されて妖精を志望したのでは?」
「……」
「まだあなたは若いのですから焦る必要はありません。今のあなたに必要なことは、しっかりと考えて行動することです。そう、地に足をつけてね」
「空を飛んでいるアンタがそれを言うのか!」
もちろん後日、私にお祈りメールが届いた。
大就職面接 ~妖精vs人間~ ペーンネームはまだ無い @rice-steamer
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