Cat Fish

美雲瀬 依

Cat Fish


結塚 友哉 ゆいづか ともや

東雲 愛華 しののめ あいか

結塚 恵美 ゆいづか めぐみ

結塚 忠 ゆいづか ただし




_10/4 海辺


友「一生幸せにします、結婚してください!」


愛「……めっちゃ震えてるけど?」


友「そ、そりゃあ人生初のプロポーズだから、緊張…するでしょ…。」


愛「あとは……目を見ないと伝わるものも伝わらないよ?」


友「愛は意地悪だなぁ…。」


愛「ふふ、拗ねてる友くんもかわいいね。」


友「どう言う事だよ…。」


愛「こんな私でよければ、よろしくお願いします!」


友「……本当に?」


愛「本当だよ。嘘なんてつくわけないでしょ!」


友「信じられない……夢じゃないよな?……ありがとう、ありがとう!」


抱きつく


愛「わ!ちょっと!あぶないって!」


友「ごめんごめん、嬉しくてつい…。」


お互いの顔を見つめ合い、笑い合う。


愛「……こんなふうに喜んでくれる人がいるなんて……私も幸せだよ。」


友M「夕方5時。水平線から見える夕日が俺たちを照らしてくれている。」



友「これが……やっと掴んだ幸せなんだ。」





_10/9 家


愛「お母さんって最中(もなか)好きなんだよね?」


友「そうそう。昔から和菓子大好きでさ。特に最中。」


愛「ならよかった。うちの両親、和菓子屋をやってるから『持ってくならこれにしな!』って嬉しそうに持たせてくれたの。」


友「そうだったんだ。わざわざ用意してくれてたなんて嬉しいな。」


愛「ふふ、そうね。また今度うちの両親にも顔を見せに行かなきゃ。」


友「そうだな、そうしよう。」


愛「この横の胡蝶蘭は友くんが選んだよね?どうしてこれにしたの?」


友「青い胡蝶蘭には尊敬とか幸福って意味があるんだって。ほら、萎れる前にブリザーブドフラワーにも出来るらしいし。」


愛「…花言葉なんて知ってたっけ?」


友「いや、調べた。せっかくだし意味のあるものにしたくて。」


愛「ふふっ、なんかちょっと意外。」


友「おいおい、そこは感心するところだろ!」


愛「まぁまぁ落ち着いてよ。ほら、ネクタイ締めてあげるから…お気に入りなんでしょ?この紺と金のストライプ柄のネクタイ。」


友「まぁな。愛から始めてもらったプレゼントだし…。」


愛「結構前のことなのによく覚えてるね。」


友「そりゃ覚えてるでしょ。」


愛「ふふ、ありがと。」


友M「可愛くラッピングをした最中と胡蝶蘭を手土産として持っていく。」


友M「緊張はしているものの、心なしか愛の目が輝いて見えた。」





愛「うわぁ、めちゃくちゃ緊張してきた…。顔、硬くなってない?」


友「大丈夫!いつもの愛らしくすれば大丈夫!」


愛「でも…万が一お父さんに『ダメだ』って言われたらどうする?」


友「そんなこと言わないって。ちょっと厳しそうに見えるけど、本当は優しい人だから。」


愛「そっか…。でもちゃんと話せるかな…噛まないようにしないと。」


友「練習する?俺が父さん役やるから。」


愛「えっ、今から!?うーん…じゃあやっておこうかな…。」


咳払い


愛「友哉さんと、結婚を…」


友(お父さんの低い声を真似て)「なんでうちの息子なんだ?」


愛「そ、それは…えーっと、友哉さんが…その…!」


友(笑いをこらえきれずに吹き出す)「ちょっと!もっと堂々として!」


愛「いや、リアルにやられると余計に緊張するんだって!」


友「大丈夫、ちゃんと伝わればいいから。形式じゃなくて、気持ちを見てもらうんだからさ。」


愛「…ありがとう。そうだね、友くんが隣にいてくれるし…頑張る。」


友「うん、俺もちゃんとサポートするから。」


深呼吸


愛「よし、それじゃあ行こう。」


友「ああ。」


愛M「そっと風に揺られて私の手に触れてきた胡蝶蘭が、頑張れって言ってくれている様だった。」





_10/9 友哉の実家


友「父さん、母さん、ただいま。愛、連れてきたよ。」


恵「あら、愛華さん!初めまして、友哉の母です。いつも友哉がお世話になっております。」


愛「初めまして、東雲 愛華と申します。友哉さんにはいつも良くしていただいております。本日はお忙しい中、時間を作っていただきありがとうございます。」


忠「そうかそうか、わざわざ来てくれてありがとうな。まあ座って、楽にしてくれ。」





恵「愛華さん、ご出身はどちら?」


愛「東京の鈴浜(すずはま)区出身です。今は皆影(みなかげ)会社で働いています。」


忠「皆影会社か。どんな仕事をしているんだい?」


愛「人事部で働いていまして、採用や社員研修の担当をしています。」


恵「まあ、しっかりしてるのね。大変そうだけど、やり甲斐はあるの?」


愛「はい、大変なことも多いですが、学ぶことも多くて楽しいです。」


友「愛はね、どれだけ仕事が忙しくても家事をちゃんとこなしててすごいんだよ。」


忠「ほう、それは大したもんだ。友哉も見習わなきゃな。」


恵「ところで、友哉とはどうやって知り合ったの?」


愛「大学時代のサークルが同じで、そこで知り合いました。」


恵「あら、大学時代からのお付き合いなのね、長いのねえ。」


愛「はい、6年になります。」


忠「6年も付き合ってるなら、そろそろ結婚の話も考えてるんじゃないか?」


友「実はその話も今日しようと思って。俺たち、近いうちに結婚を考えてる。」


恵「まあ!それは嬉しい話ね。」


忠「そうか。結婚は二人だけじゃなくて、家同士の付き合いも出てくるからな。しっかり考えているのか?」


友「うん、愛ともよく話し合ってる。」


愛「私の両親も結婚を喜んでくれています。」


恵「それなら安心ね。ねぇ、あなた?」


忠「まあ、そうだな。友哉をよろしく頼むよ。」


愛「はい、これからも二人で支え合って頑張ります。」





恵「じゃあ、今日は愛華さんの好きな食べ物でも教えてもらおうかしら?」


愛「えっと…和食が好きで、特にお味噌汁が好きです。」


忠「お味噌汁か。それなら、うちの母さんのお味噌汁も食べてもらわなきゃな。」


恵「まぁ!プレッシャーかけないでくださる?」





友「今日はありがとう、また改めて来るよ。」


恵「気を付けて帰るのよ。またいつでも遊びに来てね、愛華さん。」


愛「ありがとうございます。本当に楽しい時間を過ごさせていただきました。」


忠「まあ、いつでも気楽に来なさい。」





恵「いい子だったわね、愛華さん。友哉も良い人見つけたじゃない。」


忠「うん、これなら安心だ。」





愛M「友くんのご実家はとても物が少なく、優しい雰囲気を感じた。」


愛M「ただ、普通の家ではありえない腐臭がした気がする。」





_10/12 家


愛「ちょっと買い物してくるけど、なんか買ってくるものある?」


友「んー、トイレットペーパーが少ないかも。あとプリンとか。後で一緒に食べようよ!」


愛「了解!」


友「ごめんね、一緒に買い物行けなくて。ちょっと実家に帰らないといけなくて。」


愛「全然大丈夫!ちなみに晩ご飯はビーフシチューです!」


友「わ、めっちゃ豪華じゃん!」


愛「そうでしょうそうでしょう!楽しみにしてて!」


友「めっちゃ楽しみ!」


愛「それじゃあ、買い物行ってくるね!」


友「いってらっしゃい。」





_10/12 スーパー


愛「牛肉でしょ、人参でしょ、あと…」


愛「ん…?あれ…もしかして友くんのお母さんですか…?」


恵「あら、えっと…?」


愛「愛華です。先日はありがとうございました。」


恵「まあ愛華さん!友哉からよく写真見せてもらってます。…先日、というのは…?」


愛「え、先日友哉さんと一緒にご実家へお招きいただいていたはずなのですが…」


恵「うちに…?やだわ、何かの勘違いじゃなくって?初めましてのはずじゃ…?」


愛「え、そんなはずは…」


恵「まあいいわ、いつも友哉と仲良くしてくれてありがとうねぇ。友哉、愛華さんを困らせたりしてない?」


愛「あ…いえ、よく家事とかやってくれてとても助かっています。」


恵「あらそうなの!うちでは何もしないのにねぇ。ちゃんとやってるのね、安心したわ。」


愛「友哉さんからお母さんの話をよく聞いてます。思いやりがあって優しい方だと。」


恵「あの子ったら、そんな風に思ってくれてるのね!今度うちに遊びにいらして!私自慢のお味噌汁でも振舞おうかしら。」


愛「お味噌汁…先日作ってくれましたよね?」


恵「先日…?いやねぇそんなわけないじゃない!夢でも見ていたんじゃなくて?」


愛「夢…?そんなはずは…」


恵「あら!もうこんな時間、そろそろ失礼するわね、またゆっくりお話しましょう!」


愛「え?あ、はい…。」



愛M「そこまで覚えていないものかと、自分の感覚に不安を覚える。」


愛M「前にご実家へ伺った時とは違う視線が、不信感を加速させる。」





_10/12 家


愛「ただいま…。」


友「おかえりー。荷物重くない?運ぶよ。」


愛「ごめんねぇありがとう…」


友「どういたしまして。」


愛「あのね…さっきお母さんに会ったんだけど、この前おうちにお邪魔したこと…覚えてないって言うの。」


友「え、そうなの?でも母さんも歳だしな。そんなこともあるんじゃないか?」


愛「いやちょっとひどくない?んー、でも会ったことすら忘れること…あるのかな?」


友「ないとは思うけど…また明日実家帰るから、その時聞いておくよ。」


愛「明日も帰るの…?」


友「そうなんだよなぁ…ほんとごめん。」


愛「あ、いや…全然いいんだけど…。」


友「ご飯の準備しちゃうね。ビーフシチューだったよね?」


愛「う、うん。ありがとう…。」





_10/14 電話


愛「もしもし、愛華です。友哉くんのご実家で間違いないですか?」


忠「ああ、愛華さん。友哉の父です。」


愛「先日はお招きいただき、ありがとうございました。」


忠「ああいや、気にしないでくれ。ところで今日はどうしたんだい?」


愛「あの…お母さん、最近何かありましたか?体調面などお変わりなかったですか…?」


忠「え?いや、特に変わりは無いが…どうかしたのかい?」


愛「えっと…この前スーパーでお会いしたのですが、ご実家にお邪魔した時のことを覚えていないと言われてしまって…」


忠「そうだったのか…母さんに聞いておくよ。」


愛「すみません…ありがとうございます。」


忠「ところでなんだが、愛華さんはどこで働いているんだい?」


愛「え、先日お話ししましたが…」


忠「おや、そうだったか…すまんな。」


愛「いえ…皆影会社で働いています。」


忠「そうか、どんな仕事をしているんだい?」


愛「えっと…人事部で働いていまして、採用や社員研修の担当を…しています。」


忠「良い仕事だな、やり甲斐がありそうだ。」


愛「は、はい…とても…楽しいです…。」


忠「それはよかった、今度またうちに遊びに来なさい。」


愛「はい、ぜひ…。」


忠「それじゃあまた。」


愛「はい…失礼します。」



愛M「内容の一部を忘れることはあるけれど、説明しても思い出してもらえない。」


愛M「あの時の二人はどこへ行ってしまったのかと、考えつくしても何もわからない。」





_10/17 喫茶店


恵「あ、愛華さん!こっちこっち!」


愛「お待たせしました。」


恵「全然待ってないわ。時間だって10分前じゃない!」


忠「愛華さんは時間がちゃんと守れる人ってことがわかったな。」


恵「お父さんたら、愛華さんにそんなプレッシャーを与えないであげて!」


忠「ははは!冗談だ。気にしないでおくれ。」


愛「ははは…。突然のご連絡、びっくりしました。お話って何でしょうか…?」


恵「えぇ、そうだったわね。…あなた。」


忠「あぁ。愛華さん、家で友哉の様子がおかしいと思ったことはなかったかい?」


愛「友くん…?いや特には…。」


恵「そう…。なんだかね、近頃頻繁にうちに帰ってくるの。」


愛「あ、確かに。かなりの頻度だったと思います。たしか、今日もご実家に帰っていますよね…?」


忠「そうなんだよ…。だが家に帰ってきても私達と話すわけでも無く、自分の部屋に閉じこもったままそちらに帰るまで出てこないんだよ…。」


恵「何度も声を掛けてみたんだけどね、返事すら無くて・・・。愛華さんなら何か知ってるんじゃないかなって思って連絡させてもらったの。」


愛「そうだったんですね…うちでは特に気になることはなかったんですが…」


忠「今日もずっと部屋にいるんだ。だから愛華さんにお願いがあるんだ。」


愛「はい。」


恵「これから一緒にうちに来てくださらないかしら?」


愛「…え?えっと、私なんかで大丈夫なんですか?」


恵「そう思うのも無理ないわよね…私たちは知り合ったばかりですもんね…。」


忠「でも愛華さんが頼りなんだよ。私たちじゃ何もできなったから。」


愛「……わかりました。友くんが何しているかわからないし、どうしていいかもわかりませんが、何か嫌なことに首を突っ込んでいるかもしれませんし…一緒にご実家に向かいましょう。」


恵「愛華さん…本当にありがとう。」


忠「ここは私が払うよ。手伝ってくれるお礼にね。」


愛「そんな!自分の分は自分で払います!」


忠「いいんだ。気にしないでくれ。」


恵「そうよ。」


愛「…わかりました。ありがとうございます。」





_10/17 友哉の実家


※*で書かれている登場人物は分身みたいなイメージで演じてください。


恵「あら、ない…」


忠「どうしたんだ?」


恵「ごめんなさい…私、鍵をどこかに忘れてきてしまったみたい…」


忠「なにをやってるんだ…。」


恵「でも、うちに友哉がいるから出てきてくれるかもしれないわよ。」


忠「あいつ、部屋に閉じこもっているからどうだろうな…。」


ピンポーン


愛「…出てこないですね。」


恵「そうね…。」


ガチャ


恵*「はーい、どちら様?」


愛「え…?お母さんが二人…?」


恵「あら…いたのね。」


恵*「え、あ…あなた誰よ!」


愛M

「ここには一緒に実家に来たふんわり微笑んでいるお母さんと、玄関から出てきたひきつった顔をしているお母さんがいる。」

「隣にいたお母さんの右腕が研ぎ澄まされたドリルに変化していく。」

「驚く間もなく、もう一人のお母さんの心臓に思い切り突き刺さっていた。」

「刺されたお母さんは後ずさりして、次第に刺された場所から溶けていき、血だまりができる。」


愛「ヒッ…!」


恵「痛かったかしら?苦しまないように核を刺したのだけど。」


忠「ちゃんと眠っていると思うよ。」


恵「そうよね。ごめんなさい驚かせてしまって。」


愛「あ、いや…えっと…」


恵「一旦中に入りましょう。」


愛「え…」


忠「ほら。」


愛「…」



愛M「そう二人に急かされて、家の中に入る。」


愛M「ちらっと見た血だまりから、「ともや、ともや…」と悲しい音が聞こえる。」


愛M「そして、それは蒸発して消えていった。」





恵「暖かい紅茶よ。」


愛「…ありがとうございます。」


忠「怖がるのも無理ないよ。すまんな。」


愛「えっと…は、はい…。」


恵「先ほども説明したけれど、友哉の様子を見てきてほしいの。部屋は2階の突き当りよ。」


愛「…私は、さっきの状況を理解しないまま…行くんですか…?」


忠「…。」


愛「あの、お母さんたちは自分たちのことどう思っているんですか…?」


恵「どうって?」


愛「さっき…こ、殺していたもう一人のお母さん、あれはなんなんですか…?」


忠「あれらはもう役目を終えたんだから、安らかに眠るべきなんだ。」


愛「安らかに眠る…?」


恵「私たちは私たちよ。友哉の親なの。」


愛「…。」





コンコン ドアをノック


愛「友くん、入るよ。」


友「…。」


愛「お邪魔します…。」


友「愛…。何しに来たの?」


愛「特に何もないんだけど…。お父さんもお母さんもずっと部屋にこもってるから心配してたよ。」


友「そう…。」


愛「どうしたの友くん。急に実家通いしだすし、部屋にこもるし、そりゃみんな心配するよ…。」


友「…。」


愛「…あと…それとね、お父さんとお母さんの様子がおかしくて…。」


(遮って)

友「最近ずっと考えていることがあるんだ。」


愛「か、考えていること…?」


「どうして人って死ぬんだろう。」

「人間はあっという間に死ぬ。」

「数百秒酸素が吸えない、10mかそこらから落ちる、車にはねられる。そんなことで人は死ぬんだよ。」


愛「死ぬ…?人間だから仕方ないよね…。なんで急にこんな話…?」


友「ははっ、そうだよ。人間はもろいんだ。」


愛「友くん…?」


愛M「友くんは焦点の定まらない目で、虚空を見つめながら紅茶をすする。」


友「だから俺は死を超越する方法を考えたんだ。」


愛「死を…超越…?」


友「死を克服したかったからね。」


愛「ねぇ何言ってるの?そんな変なことしてないでさ、うちに帰ろう?お父さんもお母さんも心配してるよ?」


友「父さんと母さん…?あんなの父さんと母さんじゃない。ただのガラクタだ。」


愛「ガラクタ…?」


「こんだけ人間は進歩しているのに、死に関してはなんにも進歩していない。」

「馬鹿げてると思うんだよね。」

「こんなに人間はもろいのに、何かあっただけで取り返しがつかなくなってしまう。」


愛「お父さんとお母さんは生きてないってこと…?」


「仲がいい人が死んだら人間は涙を流す。」

「でもどうして死に抵抗しないんだろう。」

「なんで打ち勝とうとしないんだろう。」

「俺は死なんて認めない。」


愛「何言ってるの?人間は死ぬから尊いっていうじゃない?だから…」


(遮って)

「今までの長い歴史の中で、死を超えようと試みた人がいる。」

「そんな人が残した資料を俺は集めたんだ。」

「そしてその真理にたどり着いた。」

「俺が知っていた世界の常識なんて幻想に過ぎなかった。」

「みんな怖かったのかな。」

「こんなにも忌まわしくて醜悪で甘美なのに…。」


愛「ねぇ聞いてる…?」


「そして俺は死を超える方法を見つけ、手に入れたんだ。」

「最初はうまくいかなかったよ。」

「あいつらも失敗作の一つだ。」

「それっぽいだけで何もできない。」

「でも、試行錯誤を繰り返していくうちに、どんどん精巧になっていったんだ。」

「作った数だけ父さんと母さんに近づいていってる。」


愛「作った…?」


友「でも、何かが足りないんだ。もう少しで完璧なのに…」


愛「や、やめようよ、そんなこと。お父さんもお母さんも喜ばないよ。」


友「愛…。そういうことじゃないんだよ。なんでわかってくれないんだ…。」


愛「だってさっき見ちゃったの。お母さんがお母さんをこ、殺しちゃうところを…。」


友「あぁ。」


愛「ああやって作った数だけ殺しちゃうってことでしょ?そんなの悲しいじゃん。」


友「悲しい?なんで悲しいんだよ。本物でもないのに。」


愛「記憶はある程度残ってるんでしょ?てことは、友くんを思う気持ちは同じなんじゃないの?」


友「…。」


愛「だからこんなことやめてうちに帰ろう?」


友「俺、愛が大好きなんだ。死んでほしくない。」


愛「え、えっと、ありがとう…。」


友「だからあの二人と同じように死んでも大丈夫なように、改造してあげたいんだ。」


愛「え…?」


友「死んでいないうちにどうにかしてあげたい。」


愛「い、いや…。」


友「ほら、おいで。」


愛「と、友くん…。」


友「愛してるよ、愛。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Cat Fish 美雲瀬 依 @mimoseyolu000

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ