チューリップの花束

ぽんた

第1話

わたしのなまえは、有馬彩月ありまさつき。6歳。

わたしには、あこがれの人がいる。

それは、藤乃まいちゃん。

まいちゃんは、あこがれであり、わたしのアイドルみたいな人。


藤乃まいちゃんは、わたしのおねえちゃん(小学3年生)が通っているミュージカル教室にいるおねえさん。中学2年生。

おしばいがとっても上手で、いつもはかわいいおねえさんなのに、舞台では男の子。

すごい!わたしもやってみたい!

…と、おかあさんにいってみた。そしたら


「1年生になったらね。」


と、えがおで言ってくれた。



「行ってきます!!」


今日もおねえちゃんが、おとうさんの車にのって、おけいこに行った。

わたしはおかあさんとおるすばん。

おむかえは、わたしもついて行くんだ。


「ねぇ、今日おむかえ行ったら、まいちゃんにあえるかな?」

「彩月は本当にまいちゃんが大好きだね。」

「うん!かっこいいしかわいいし、だいすき!まいちゃんと、いっしょにおしばいしたい!」

「…彩月を悲しませたくないんだけどね…」

「?」


「まいちゃんね、今回の舞台で辞めちゃうんだって。」


「!!」


おかあさんの言葉に、ビックリしてかたまってしまった。


「まいちゃん、やめちゃうの…?」

「まいちゃん、次は中学3年生でしょう?

お勉強に集中するんだって。」

「………」


じゃあ…これがまいちゃんのさいごの舞台…。

わたしは立ちあがり、おりがみの本をさがしに行った。


「彩月?どうしたの!?」

「…まいちゃんに、花束あげるの。」


おりがみの本をペラペラとめくる。

いろんなお花の折り方がのっている。

でも、どれもむずかしそう…。


「彩月、これはどうかな?」


おかあさんが指さしているのは、チューリップ。


「これなら折れそうじゃない?」

「うん!!」

「お母さんも手伝おうか?」

「いらない。自分でやる。」

「そっか。頑張ってね!」


◇◇


それからわたしは、ようち園がおわって家にかえると、少しずつおり紙でチューリップを折った。

あか、ぴんく、きいろ、白と、たくさん折った。


「ただいまー!

あ、さつき。何してるの?」


おねえちゃんが小学校から帰ってきた。


「チューリップ折ってるの。」

「へー。かわいいじゃん。卒園式で先生にあげるの?」

「ううん。まいちゃんにあげるの。」

「まいちゃん?どうして?」

「おかあさんから、まいちゃんがミュージカル教室やめるってきいたから。」

「よく知ってるねぇ。公演当日に渡すんだ。」

「うん。」



そして、発表会の日。

まいちゃんは、今回も男の子の役。


『お前、家でも沢山練習したんだな!!

すっごく上手になってるよ!』


ほんとうに男の子みたい。

これでやめちゃうからなのか、

いつもよりまいちゃんがキラキラしているように見える。

わたしは決めた。

まいちゃんがやめちゃっても、この舞台に立ちたいって。



舞台がおわると、舞台に出ていた子たちとお客さんがおはなしできる。

ちょっとはずかしかったから、おねえちゃんにおねがいして、まいちゃんの所につれて行ってもらった。


「まいちゃん!!」


わたしはまいちゃんに、がんばって作った花束をわたした。


「これ、受けとって!」

「!!」


まいちゃんは、すでに持っていた花束を後ろにおいて、しゃがんで目線をあわせてくれた。


「ありがとう!!彩月ちゃん。すっごく嬉しい!!」

「まいちゃん、お勉強がんばってね!」

「うん、ありがとう!!」




それから1年後。

わたしは舞台に立っている。

えがおでおどり、うたっていると…


「!」


まいちゃんが客席で、たのしそうに舞台をみていた。


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