あこがれ
口一 二三四
だからさ
わたし言ったじゃん。憧れるもんじゃないって。
あんなの才能がなきゃどうにもならないんだから。
努力しても報われるわけじゃないんだから。
そりゃ夢持つのはいいことだよ。
やってみるってすごいことだよ。
でも実現できるかは別問題じゃん。
世の中絶対なんてないんだから。
達成できるかわかんないことより達成できること。
そっちの方がいいとわたしは思うんだよ。
アンタが見てる人達はひと握りなんだよ。
神様が選んだ恵まれた人達。
才能があって運が良くて努力が報われた人達。
わたしみたいな無難な生き方してる人間とは大違い。
普通から逸脱した存在。敵うはずがない。
それでもアンタはわたしの言葉に聞く耳持たなくて。
持ち前の笑顔と負けん気で大丈夫だよなんて。
根拠も理屈もないがむしゃらさで突っ走っちゃって。
夢は叶えてこそ夢だよねって。
安っぽい応援ソングみたいなことばっか言って。
周りなんか気にするヒマないぐらい急いで先行って。
わたしや他の人置いてくんだもん。付き合いきれない。
もう勝手にしたらいいじゃんって突っぱねたけど。
ほんとはわたし。誇らしかった。寂しかった。
みんなが無理だってことに挑戦するアンタが。
だからデビューが決まった時めちゃくちゃ嬉しかった。
今テレビに出てる子わたしの友達だって言いたかった。
でも言わなかった。言えなかった。だってそうでしょ。
わたしはアンタの可能性を信じられなかったんだから。
才能と運と努力に恵まれてたアンタを。
自分と同じだって決めつけてたんだから。
わたしと同じ無難な人生を過ごす人間だって。
夢を夢のまま終わらせる人間なんだって。
勝手に押しつけてたんだから。
他の誰かと一緒。その他大勢の一人でしかない。
なのに。ねぇ。なんで。
なんでわたしを特別扱いしてくれるの。
一番の友達だって言ってくれるの。
わたしはアンタを信じなかったのに。
せめて邪魔だけはしないようにって。
わたしはアンタを見送ったのに。
ねぇ。なんでよ。
そんな目で見ないでよ。
そんな顔で笑わないでよ。
忙しいくせに。大変なくせに。
昔みたいにまた遊ぼう。
そんな連絡よこさないでよ。
お願いだから言わないで。
わたしに憧れてるなんて。
今さらわたしに。
振り向かないでよ。
あこがれ 口一 二三四 @xP__Px
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