精神と肉体の呪縛について考えさせられる秀作
- ★★★ Excellent!!!
自己を定義するものは肉体なのか精神なのか。非常に根源的な問いを滅亡後の世界で突き詰めるスリリングな作品。
すでに規範の軛から放たれたにもかかわらず、性別にまつわる自己規定や偏見というものはかくもしぶとい……
さり気ない文章の端々からそう悟ってはぞっとする、巧みな描写が見事です。
生存者2名という「最小の社会」となってさえ、生き残った2人は性別という概念に囚われ続ける。
心と体の性が一致しないからこそ、その苦しさと矛盾がより鮮明に表れることに、幾度もはっとさせられます。性自認が一致した男女が生き残っていたとしたら、おそらくこの葛藤は覆い隠されて存在しないことになるはず。
この2人を生存者とした作者の発想に感じ入ります。
最後の台詞には複雑にねじれた性別というものの姿が象徴されていて、何とも皮肉でかつ面白く感じられました。
著者の企み(ポジティブな意味です)がふんだんに盛り込まれた刺激的な作品、おすすめです!