一味違うポストアポカリプス

伝染病で人類の大半が死したと考えられる世界、そこに生き残った一組の男女。ここまでなら一度は聞いたことのある話かもしれない。もちろん、こうした作品自体も面白い。しかし、この物語に一味違った味を加えているのが、この生き残った二人は、それぞれ自分の性別に違和感を持ち、別の性別として生きていることである。

しかしながら、肉体は元の性別のまま。幸人は自分の肉体を生かして、子孫を繁栄させ、人類の存続を狙う。対して後藤は、そんな決断をした彼をどう思っているのか。彼女の決断が、この物語の結末となる。

種としての幸せか、生まれてきた自分たちの幸せか。人類滅亡もあり得ない話じゃない世界で、我々が優先するもの、優先することが許されるものは何か? それについて考えさせられる話。テーマに対して作品自体は読みやすいのでおすすめ。

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