物語とは、記憶に住まう幻である
- ★★★ Excellent!!!
読むとは、記憶すること。
物語とは、読み終えたその瞬間に、もう過去の出来事になっている。
本作『物語配置図』は、文字・文・記憶・意識・時間といった概念を縦横に織り込みながら、
物語というものがいかに人間の記憶と密接に結びついているかを、
独特のユーモアと深い洞察で描き出すメタ・エッセイである。
「人はなぜ読むのか?」
「読むとは、心を動かすとは、何を意味するのか?」
そうした根源的な問いを、遊び心と少しの狂気を交えながら探っていく筆致は、
文学論とも創作論とも哲学ともつかない、ひとつの『読み物』としての強度を帯びている。
思考はページの外にまで及び、
記憶は読者の内側で再編されていく。
物語を信じ、読むという行為そのものを愛してしまったすべての人へ。
これは「なぜ物語は人を動かすのか」という問いに向き合った、
誠実なエッセイ。