入学初日、窓際の席。
そこにいたのは、幼い頃の親友で、今はもう疎遠になっていた――本間菫。
小柄で地味、いつも文庫本を手放さない「文学少女」。
その彼女が、俺の隣の席に座っていた。
ぎこちない再会。
だけど、ふとしたきっかけで一緒に帰るようになり、昔の空気が少しずつ戻っていく。
そしてある日。
彼女の部屋で、俺は「秘密」を見つけてしまった。
それは――彼女が誰にも言えずに抱えていた、BLという趣味。
文学の仮面の裏に隠された、熱くて濃い、もう一つの「好き」。
俺は、彼女の涙を初めて見た。
秘密を知られた彼女の、震える声と、あふれる想い。
そしてその日から、俺と彼女の関係は、たしかに変わっていった。
秘密を共有したことで始まる、二人だけの「共犯関係」。
彼女の言葉、彼女の横顔、彼女の香り。
すべてが、たまらなく愛しくなっていく。
これは、「推し」ではない、現実の誰かを本気で好きになる、
そんな青春の始まりの物語。