エピローグ

エピローグ

『——以上が、此度の「薬術の魔女」の報告である』


 報告書を一通り目を通し、これで充分だろうと魔術師の男は小さく息を吐いた。


 相性結婚で会った頃から、視察として魔術アカデミーに入り虚霊祭を終えるまで。

 思いの外に短い期間の話のはずだが、意外と報告できそうな内容があった。あとは清書をして、まとめて上司へと提出するだけだ。


「……本当に、彼女は特殊な方だ」


魔術師の男は小さく呟き、虚霊祭の日に薬術の魔女からもらった花を栞にしたモノを懐に仕舞う。


×


「あ、あーっ!」


 朝起きた薬術の魔女は、思わず素っ頓狂な声を上げた。慌てて口を抑えるが、周囲には誰もいない。

 それに安堵して、薬術の魔女は視線を向けていた先へと歩き出す。


「せっかく飾ってたのに……」


 そこには、花瓶に入った花があった。


 飾っていた花が萎れてしまい、薬術の魔女はしょんぼりと肩を落とす。無論、これは虚霊祭の日に魔術師の男から受け取った花だ。


「あ、そーだ。押し花にしよー」


一度、魔法で花を元気にしたあと、丁寧に折り目を付けて紙に挟んで重しをそっと乗せる。


「乾け乾けー」


それに念を送って少し置いてから、重しをどかす。そうすると、あっという間に押し花の完成だ。

 台紙には魔術師の男からもらったお札を使うことにした。恐らくもう効力はないだろうからだ。


「ふんふーん、これ付けちゃおー」


言いつつ、リボンを付ける。これは、魔術師の男に贈ったものとお揃いのリボンだ。


「これで、ずっと飾ってられるよね」


 薬術の魔女は満足そうに、上機嫌に笑った。

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薬術の魔女の学園生活 月乃宮 夜見 @4-2-16

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