第5話 違和感

俺はどこに向かっているのだろう。


なごみのところ?――――いや、違う。


俺の体は自然と、とある場所に向かっていた。それも無意識に。


―――――パチンコ屋だった。


「ここって…」


俺の家付近にあるこのパチ屋は、俺となごみが出会った場所。思い出の場所と言ったらまさかのパチ屋かよと思うかもしれないが、少なくとも思い出の場所だと思う。


俺がパチンコでボロ負けしていると、彼女は俺に駆け寄ってきて言ったんだ。


『いつも来てくださっていますよね。パチンコですから、負けるときの方が多いでしょうが、運よく勝つときだってきっとありますよ。…まあ、私はここの店員ではありますが、やったことはないので、綺麗事を言える立場ではないのですけどね。』


俺は、彼女に1ミリも腹を立てなかった。むしろ、勇気をもらえた気がした。人生に希望を持ってなかった当時30後半のおっさんだったが、彼女がいればなんとなく安心できる気がした。


それからというものの、瞬く間に行く頻度が増え、彼女と会話するようになり、次第に交際に発展していった。


彼女との時間が増えるようになると、お互いパチ屋での仕事や賭け事をやめ、健全な生活を送ることにした。




彼女と過ごす時間が増えると、なごみはおかしくなっていった。髪はぼさぼさで、メイクもしない。女らしくない。


前は、女子高生みたいな可愛くて女の子らしさが溢れ出ていたのに。


こんなの、俺の嫁じゃない。こんなやつと、結婚した覚えはない。教育しないとだめだ。


嫁が俺のために金を稼いでこなかったときは、躾として夕飯を抜きにしたり、連絡が30分以内に返ってこなければ、離婚届を叩きつける。


こうすることによって、嫁は俺の理想通りになった。


「お前はな、俺だけを見ていればいいんだ。俺だけのなごみになればいいんだよ」


愛のこもったメッセージを送ってやった。なのに、なごみは笑ってなかった。

だから俺は、壊れたテレビを修理するかのように処置を行い、なごみを戻し、あいつから、「愛してる」の言葉を聞き出すことができた。



だが、その日は来た。急な来客に驚くと、そこには警察が。


そいつはこう言い放った。


『斎藤潤二さん、13:56、暴行罪であなたを現行犯逮捕します。』

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【連載強制終了】カメラが写した真実――それは本当に事実か、否か @_harunohi_143

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