聖人バトル
白川津 中々
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第82回聖人バトルが始まった。
聖人バトルとは各国の聖人候補がトーナメント形式でバトる大会で、優勝者は聖人として数えられバチカンに列挙される。
聖人バトルが始まったのは2xxx年。あらゆる事象が科学的に解明され奇跡認定がなされず聖人の排出がストップ。これに危機感を覚えた時の法王が「奇跡なんか起きねーよバーカ強い奴が聖人でいいよもう」と発令した事に端を発する。以来、一年に一度開催され、年一で聖人が誕生していたのだった。なお、この聖人バトルは興行もかねており放映権と観客収入で荒稼ぎしていた。ルールなしレフリーなしなんでもありのデンジャラスマッチに人々の目は釘付け。どれだけ品性を取り繕おうとも内に宿る獣の残虐性は隠しておけない。次々と行われる死闘、血戦。数多の死体が転がり、数多の欠損が生じ、数多の悲鳴と雄叫びがあがる。この残酷な見せ物が、人間の心を満たすのだ。国の威信をかけ拳を振るう聖人候補には退路も棄権もなく、戦って死ぬか生きるかしかない。勝者であっても、漏れなく重篤な障害を負う。
しかし、今回行われた第82回聖人バトル。優勝したC国代表には傷一つなかった。彼と相対する予定だった選手は皆行方不明か不慮の事故に遭いずっと不戦勝だったからである。番外戦術が行われたのは明白で、客席から不満のブーイングが鳴るも結果は覆らなず優勝はC国として強行。ろくすっぽ調査もされなかったのは役員に賄賂が行き渡っていたからに他ならない。もはや、金が入ればなんでもよかったのだ。
地獄の沙汰も、金次第。
地位も名誉も、奇跡だって金で買えるこの時代に、真の聖人などいやしなかった。
聖人バトル 白川津 中々 @taka1212384
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