生きるをする。

@yuutyeru16

第1話偉人

朝、学校に向かう時に乗る電車には偉人たちが乗っている。

その偉人はスーツを着て重そうな鞄を肩にぶら下げ、まるで絶対に勝てないとわかっている敵と戦う前の漫画のキャラみたいな顔をして毎日電車に揺られている。

俺はその偉人たち(サラリーマン)を見てここ最近は毎日心の底から「すごい。。」と思いながら通学していた。


今日の学校の空気はいつもと違う。

なぜなら今日は新学年になって最初の日だからだ。

新しいクラスになってみんな不安と期待が入り混じったような表情でホームルームまでの時間を過ごしていた。

そして今年高校三年生になった俺、花崎優二(はなさきゆうじ)はこの新学年初日という日が大嫌いだ。

その理由はこの学校では新しいクラスになった最初のホームルームで必ず自己紹介をする。そこで名前と将来の夢や目標を喋らなければならないのだ。


先生が教室に入り自己紹介の時間が始まった。

出席番号1番から名前と将来の夢や目標を喋り始める。

とはいえ俺たちももう今年18歳になる年頃の高校生だ。

小学生の時に自慢げに親や友達に喋っていたような大きな夢を語る人などいない。

予想通りみんな当たり障りのないことを言っている。

自分の番が近づいてきて何を言おうか頭の中でまとめていた。

「19番、野間来美(のまくるみ)です。将来の目標は女性初の総理大臣になることです」

俺の前の席の女子の言葉に教室中がざわめいた。

少し間が空き「次のひと」先生がそう言った。

俺の番が回ってきた。何をいえばいいのか、何を言おうとしてたのか何もわからなくなった。決して冗談を言うタイプには見えない前の席の女子のその発言は本当に衝撃的だった。

まず名前を言う。「20番、花崎優二です。」そして将来の夢や目標、、その時一瞬頭に浮かんだのは小さい時に思い描いた夢とかではなく通学の時に見る電車に乗っている偉人たちの姿だった。

「将来の目標は、、、生きるをすることです。」

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