幼馴染みは踏み込めない

　中間和人には、ささやかな夢がある。それは、女の子の友人を作ること。そのために、学力を上げ、様々なスポーツに取り組み、料理やセンスの勉強もしてきた。しかし、高校を入学して早１ヶ月。女子の友人はおろか、知り合いすらもできない。なんなら、女子と話をしたことすらない。男子の友人はそれなりにいるのでぼっちと言うわけではないのだが、なぜか和人が話しかけようとすると、女子たちは逃げるようにいなくなってしまう。
　その理由は、和人の幼馴染み、東城さくらにあった。
　あまりにも仲が良すぎる２人を見て、周りは『あれで付き合ってないのなんで？』と、どうにか２人をくっつけようとやきもきしていた。
　すでに外堀は完璧に埋まりきっているのに、関係性が壊れてしまうのが怖くて踏み出せないさくらと、どうにかして女子の友人が欲しい和人の、じれじれなお話。