概要
しかし近郊で条件に合う物件は全然見つからない。
すがるような思いで駆け込んだ『瀬戸不動産』に紹介された物件は、
家賃月、3万円敷金礼金なし。新宿駅徒歩0分という物件だった……
これは、住む環境が人間性を変えると言う実験の記録である。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!コインロッカーが生むもの
自分は世代的にコインロッカーと聞くと反射的に「ベイビー(ズ)」を連想する。
本作のタイトルはベイビーではなく「アダルト」である。
かつてコインロッカーは赤ん坊=生命を遺棄する場所だった。
この小説でコインロッカーは新しいモデルとしての生命を生む場所になっている。
ベイビーが死を、アダルトが逆に生命を連想させるのは皮肉だが、作者の鋭敏な感覚がおもしろい。
戦前・戦後という言葉があるが、今は震災前・震災後といういいかたがしっくりくる。
コインロッカー・アダルトまちがいなく「震災後」の小説で「狭い避難所で快適に暮らすためのモデル」という発想は、作者の実体験とはまた別に、震災後の時代でなければな…続きを読む - ★★★ Excellent!!!案外私なら・・・
もう「終活」と割り切っている私は、主人公に近いのかもしれませんね。
冗談ではなく、いつか「行き詰まる」までの間に、なるべく「断捨離」をしていこうと、母の遺品整理をしている内に、遠大な計画を立てました。
「自分の所有物だから」という視点を崩せば、「なんくるないさー」!!笑
「ウルトラマン」の「8分の1計画」を思い出しました。
「シン・ウルトラマン」でも似た要素があったようですが。
何度かエッセイに書いている通り、「南海トラフ地震」は「予知」ではなく、「政策」です。寧ろ、東京の大都市直下型地震の方が恐いです。
色んな方面から侵略してくる「白蟻国」に忽ち乗っ取られるでしょうね。
現実の世界に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!新しい生活様式
ウサギ小屋と嗤われた、日本の住宅。
そんな話も今や昔。
物価上昇などを受け、海外でもマイクロアパートメントが取り沙汰される現代。
そう、世界が日本に追いついた。
このままでは狭小住宅界の覇権が――――ノンノン、その程度では終わらない。
駅のコインロッカーを活用した、究極の物件が完成したぜ。
これで新宿は日本の中心から、世界の中心へと成り上がる。
利便性は問題なし。
なんと言っても都心ど真ん中。あらゆるものが揃ってる。
世界的な某建築家だって、狭すぎて冷蔵庫が置けないと不満を漏らしたクライアントに言ってる。
「コンビニまで歩け」(これホントの話)
だから、住みこなす覚悟さえあれば大…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ミニマリズムの極致
コインロッカーを住処にするという奇妙な話
とはいっても、作中にも説明があるとおり、マットレスがあり、棚があり、コンセントもあり、とカプセルホテルに近いです。
しかし、毎朝6時に扉が強制的に開かれ、23時には強制的に扉が閉まるという、コインロッカーっぽさもちゃんとあります。
さて、実際に主人公はそこに住んでみるわけですけど、その生活は明らかに不便です。
でも、その不便さが、主人公に健康的な毎日を送らせるきっかけとなったようで、悪いことばかりでもない……みたいだけど、私はやっぱりここに住むのは嫌ですね。
物語は終盤、予想外の方向へ行き、最初はネタ枠かなと思っていたんですけど…続きを読む - ★★★ Excellent!!!これはもしや、ディストピアな未来への第一歩……?
人間にとっての「住」とは何か。人が生きるための「基点」とは何か。色々と考えさせられる作品でした。
主人公の羽生は格安で住める物件はないものかと模索する。
そんな中で家賃三万円の物件を見つけるが、そこは新宿駅にあるコインロッカーだった。
いやいや、ありえないだろ、と思いつつも、コインロッカーのスペックなどを説明され、どうにか生活できるのだろうかと考え始める羽生。
コインロッカーの中で窒息しないように定期的に開閉される。朝の六時には強制的に開き、また別の時刻には強制的にロックされる。
人が一人入れるだけの絶妙なスペース。そこで生活するためには体型の維持も必要。そして寝起きの時間…続きを読む