亡くし物、無くし者

ネジ回しあたま

落とし者

ねぇ君落としてるよ

女が男に何かの欠片を差し出す

なんですかそれ、僕のじゃないです。

心当たりが無かった、本当に。


そう、じゃあこれは私が貰うわね。

そう言うと女はサッサと立ち去ってしまった

変な人だなぁ、でも不景気な世の中だし変な人の一人や二人遭遇してもおかしくないか。


男は落とす、会社で、帰路で、飲み屋で、家で、

少しづつ、ほんの数ミリづつ剥落していく。

誰かが拾う、拾って身につける。


かつて出会った変な女も、落としている事実も

彼の記憶から剥がれ落ちていた。

そうして元の自分の形を忘れ、行き詰まる。

ある日汚い裏路地に薄く光る欠片を見つけ拾い上げる、

男は再会し、後悔と遣る瀬無さに涙を流した。

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亡くし物、無くし者 ネジ回しあたま @audittodo9

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