星空の下で交わされる、二人だけの秘密の誓い

　本作は、大公リオネルと侯爵家の子息シルヴァンが、学園生活の中で出会い、友情から恋へと発展していく物語です。孤独を抱えるリオネルと、礼儀正しくも距離を置きがちなシルヴァンが、植物園での偶然の出会いをきっかけに心を通わせ、秘密の休憩スペースで過ごす時間を重ねることで、互いにとって特別な存在となっていきます。

　リオネルの独占欲とシルヴァンの甘えが少しずつ表れる関係性の変化が本作の魅力。記録共鳴魔術を通じて星空を共有するシーンは、二人の心が最も近づく美しい場面であり、深まる感情が繊細に描かれています。

　端正で優雅な文体が貴族社会の優雅な雰囲気を際立たせ、視線や仕草の細やかな描写が関係の緊張感を高めています。穏やかに愛を育む二人の姿が胸を打つ、静かで甘やかな恋物語でした。