ちょっと怖くて、ちょっと優しい。 人生、道端の方が面白い。
- ★★★ Excellent!!!
ふだんの生活の中で、ふと出会ってしまう強烈な何か。
たとえば、夜の街で笑うお姉ちゃんの臨死体験。
訪ね慣れた病院のはずなのに、毎回迷いこむ不可思議な帰り道。
早朝、毛布を羽織って道の真ん中に立つ人。
大阪・新世界の劇場で巻き起こる怒号と、少女に向けた涙の万札。
あるいは、運転中にさらりと「人を殺した」と言い放つタクシーの運転手。
どれも少し怖くて、でもなぜか憎めない。
不意に現れて、心に棘のように残る記憶のカケラたち。
それは、大きな事件ではない。けれど、誰かの人生に深く刻まれている。
読後にきっと、「自分にもあるかもしれない」と思わせてくれる――
そんな、笑いとヒヤリと、少しの切なさが詰まった連作エッセイ集。