クラスでひとり、僕だけが“冒険”前夜

 この物語は、夏休み明けに「自分以外全員が異世界帰りの勇者」という、なんともユニークな世界からスタートします。高木たろすけの目線で描かれる日常は、異世界ファンタジーでありながら、どこか現実味のある悩みや劣等感が等身大に描かれていて、胸にグッと響くものがあります。

 主人公は普通の高校生の地味な自分を受け入れながらも、時に妙な勇気や無自覚な成長を見せるたろすけの姿が、なんとも人間らしくて共感しやすいです。個性的なキャラや、どこかズレた掛け合い、予測できないハプニングも見どころ。

 シリアスとコメディ、異世界と日常が絶妙に溶け合い、読んでいるうちに「普通」であることの意味を優しく問いかけてくれる物語です。青春小説や異世界転生もの、そしてちょっと自分に自信が持てない時に、そっと背中を押してほしい人に特におすすめしたい一作です。

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