第6話 夏休み突入 1
「教員は夏休みも忙しい。」
そんな見出しのネット記事を見たことがあるが、「いったいどこの学校の話だろう」と思う。少なくとも、私の体感としては、それはそれは楽な毎日である。
会議があるといっても1〜2時間程度のもの。負担になるほどではない。
研究熱心な学校では、紀要を書くので夏休みも忙しいと聞いたことがある。それでも、普段の慌ただしい日々よりは余裕があるのではないかと思う。
20連休をとる先生も珍しくない。一般企業でそんなに休めるところがどれだけあるだろうか。20日休めれば、国内旅行はもちろん、海外にだって行けてしまう。
「夏休みのために教員をやっている。」
そう口にしていた年配の先生がいたが、決して大げさではないのだろう。普段の忙しさを補って余りある、まさに天国のような1ヶ月半。多くの教員が夏休み明けに備えて、全力でリフレッシュするのだ。
しかし、どんな世界にも例外というものはある。
私はいつもより少し遅めに出勤し、8時50分に生徒を迎え入れる。
これから毎日3時間、吹奏楽の指導である。好きでやっているのだから文句はないが、ある意味、普段の授業より大変だ。
A県では夏休みに高校見学が実施される。3年生の出席は日によってまちまちで、みんなが希望する高校の見学日にはごっそりいなくなる。それでも、基本的には部活を行う。
8月4日の大会に向けて、最後の強化練習が始まる。
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真実は小説より奇なり~吹奏楽部奮闘編~ 蔵場 矢々 @kuraba-yaya
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