「私はタイカの役に立ちたい。大事な人だと、思われたい」

火の精霊の加護を宿しながら、嫉妬と恐れに囚われた人々によって捨てられた少女・シュト。
彼女は《物語り》を名乗る青年・タイカと出会い、ともに旅をすることになる。

向かう先は、タイカの先生が住む《鉄の道》の南端。
それがどれほど長大な旅路なのか、2人にもわからない。

だが、旅は残酷だ。
すれ違い、傷つけ合い、言葉にできぬ感情が胸を裂く。

「タイカは、私と旅をするのが嫌になった?」

問いの先にある答えがなんなのか、2人にもわからない。
だからこそ、互いに結び合わさった自身の望みの中から、最も大切な想いを伝えたいのだ。

「君が必要だと、言って欲しい」

あのとき、悲しみの中にも喜びを感じたではないか。
2人の旅は、まだ続くのだと。

これは終わりなき大森林の物語。
誰かの心にきっと届く、風のような物語。

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