「私はタイカの役に立ちたい。大事な人だと、思われたい」
- ★★★ Excellent!!!
火の精霊の加護を宿しながら、嫉妬と恐れに囚われた人々によって捨てられた少女・シュト。
彼女は《物語り》を名乗る青年・タイカと出会い、ともに旅をすることになる。
向かう先は、タイカの先生が住む《鉄の道》の南端。
それがどれほど長大な旅路なのか、2人にもわからない。
だが、旅は残酷だ。
すれ違い、傷つけ合い、言葉にできぬ感情が胸を裂く。
「タイカは、私と旅をするのが嫌になった?」
問いの先にある答えがなんなのか、2人にもわからない。
だからこそ、互いに結び合わさった自身の望みの中から、最も大切な想いを伝えたいのだ。
「君が必要だと、言って欲しい」
あのとき、悲しみの中にも喜びを感じたではないか。
2人の旅は、まだ続くのだと。
これは終わりなき大森林の物語。
誰かの心にきっと届く、風のような物語。