「ふーん。いじめていたクラスメイトだろ? 放っておけばいいじゃん」
- ★★★ Excellent!!!
鈴木茉莉は、いわゆるイジメられっ子だ。
彼女には、3人の女子生徒がまとわりついている。
イジメっ子が2人と、元友人のイジメっ子が1人。
真綿で首をしめ付けられるように、茉莉の心身は日々蝕まれていく。
ある日、彼女は「くろうねりの儀式」なる怪しげな儀式につきあわされることに。
つまらない悪ふざけ。そう信じていた。
「生贄に、黒い右手を捧げます」
だが、非日常がひたりひたりと近づいてくる―――。
『君達、気に入らない。面白半分で友達を売ろうなんて最低だよ』
そういって、黒いモノはイジメっ子の2人を代わりに連れて行った。
しかし、茉莉の心にしこりが残る。
自業自得だと言われても、納得できない。
そんな折、たどり着いたのは、赤い鳥居の神社だった。
所作に従い、二礼二拍手――そして、一礼。
「お願いします。お化けに連れていかれたクラスメイトを助けてください」
茉莉の声に、声が応えた。
「その願い、聞き届けたり」
彼女たちの前に現れたのは、言織(ことり)を名乗る巫女装束の少女だった――。
これは、『おぼろのことり』を巡る怪奇中編集。
夜の果てにも、まだ闇は息づいている。