羽って、やっぱり必要なものかも

「ねえねえ! その羽。かっこいいよね!」


 歩実は楽しそうにそういう。

 そんな良いものではない。


 そう言いそうになるが、余り水を差すべきではないのだろう。

 まあ、いいか。と思い、私は軽く息を吐く。


「それにしても、なんで私に声をかけてきたの?」


 私がそう聞く。

 彼女と出会ってからの一週間。

 ずっと気がかりで仕方がなかったのだが、何故私に彼女が話しかけてきたのか、が。


「え? なんでって? その羽がいいなー。って思って、友達になりたいなーって」


 私はギュっと、胸が締め付けられるような気がした。

 え? なにこの感情。

 ちょっと待ってカワ(・∀・)イイ!!。


 どうした。

 なんなのこの感情。

 かわいいが暴走してヤバイ。


 ちょっとまって、この子今なっていった?その羽がいいなー。って思って、友達になりたいなーって!?


 私はその時に感謝した。

 なにかって言われると、主に羽に。

 この子と出会えたのだ。


 この世の言葉で一番近い単語をそれっぽく言うのであれば、一目惚れ。

 それに尽きるような気持だった。


 今までの羽に対しての悪感情なんてすっかり吹き飛んでしまった。


 うれしい。

 こんなにも嫌だった羽を好きって言ってくれる人がいて。


 キューン。

 そんな擬音が聞こえてくるような気がする。


 私はこの羽が嫌いだった。

 大嫌いだった。


 前言撤回。

 大好き。

 この羽大好き。


 もっと言えば、歩実あゆみのことが好き。

 うーん。好き。


 それにしても、あんなに嫌いだった羽に対してここまで好感を持たせるのだ。

 彼女はすごい。


 私は彼女に好感を抱いた。

 もう好き!


 この気持ちを伝える日が来たら、伝えたい。

 なんなら恋人になりたい。

 もっと言えば結婚したい。


 そう。この忌々しき羽は、彼女と出会うための、いわば恋のキューピットで赤い糸。

 この羽のお陰。

 全部。


「えへへ~」


 私はそんな柄にもないことを言う。


「どうしたの?」

   ✕   ✕   ✕   ✕


 私の学校には「天使」がいる。

 比喩的な意味じゃなくて、言葉の通り。


 その天使は目の前でにっこり微笑んでいる。


 私は天に嫌われ生まれた生まれたのが天使の子。

 要するに、ただの珍しい人間として、定着しつつあった。

 だが、珍しいものは珍しいので、好奇の視線で見られることには間違いない。

 が、そんなことはどうでもいい。


 彼女がいる限りは私はどこ絵でも行けそうなそんな気持ちだ。


 私は、この羽が好き。


 ~ END ~

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羽なんかいらない。 団栗珈琲。 @dongurikohi109651

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