三人の王女が次の王を決める為の試練に応じて森へ鳥の羽を十枚取りに行くお話です。
超簡単版の貴種流離譚でもあるかもです。
おそらく羽を集めこと。羽自体。その数に明確な理由はありません。
目的を成し遂げることという体験、その結果の気づきを知りたかったのです。
そしてその結果をどう受け入れるか。
王様はそれを見たかったのではないでしょうか。
それぞれの王女は勇気と知恵と感謝を、表し学び携えて、楽しさの中で帰途につきます。
誰もが他に勝ることなど考えてもいません。
すべての王女が優勝劣敗の競争をしてもいません。
ここが素晴らしい。
みんな良い子。
童心を懐かしむ方。
子供へ語る物語を欲する方。
可愛い童話が好きな方。
相応しい物語がここにあります。
ぜひ、ご一読ください。
本当に大切なものとはなんなのか。そのことについて考えさせられる話でした。
本作では、王位継承の試練として、マチルダ、ソフィア、クララの姉妹が「十本の羽根を集めてくること」を命じられます。
そうして、それぞれが旅に出ます。
性格の違う三人は、旅先でそれぞれ違った生き物たちと出会うことに。羽根を集めるにはどうすればいいか四苦八苦しつつも、自分の心に従って「一番正しいと思う選択」を取って行きます。
最終的に、試練を無事に乗り越えられるのは誰か? そして、この旅の先で三人が得るものとは何か?
羽根を集めるという「目的」を達成するため、三人が経験していくこと。実はそのことの方が何よりも重要で、その途中で得た「何か」がありさえすれば、十本の羽根の目的は達成されなくてもいいのではないか。
本作はそんな事実を教えてくれるような感じがありました。「何かの目標の達成のため、必死に課題をこなそうとする」ということ。必死に何かを頑張っていれば、その過程で多くのことに気付かされ、今までとは違った目線、そして新しい出会いを得ることもある。
だからそんな「過程」や「手段」の方が大事なのかもしれない。
そして、自分にとって一番大事なものはなんなのか。その事実にも気づけるかもしれない。
三人の姉妹はそれぞれが優しい心の持ち主で、誰もが真摯に状況に向かい合う。その姿を見ていて「努力すること」、「誠実に物事に挑むこと」の大切さを教えられるような気がしました。