タヌキングと15歳のタヌキング
タヌキング
^^^
やぁ、昔の俺。
「こんにちは、未来の俺」
今日はお前に言いたいことがあるんだ。
「へぇ、未来からの助言って奴か?」
いや、助言なんか出来はしない、この会話だってお前は覚えて無いさ。
「なんだそうなのか?起こることが分かれば、よりよい未来が送れると思ったんだがな」
馬鹿だなお前は、未来の35歳の俺がこうしてお前に会いに来ている。それが一番幸せなんだよ。35歳まで健康で無事に生きられている、そんな当たり前のことが幸せなんだ。
「ふぅん、そういうもんか?俺は若いからそう言うことはまだ分からないや」
そうだな、15歳だもんな。馬鹿とか言ってごめん。
「いいよ、自分に言われる分には腹も立たん。それにしても未来の俺が何の用なんだ?」
それなんだがな。35歳の節目にお前に伝えておこうと思ってね。しかと聞け。
「おう、聞こうじゃ無いか」
お前は35歳になっても彼女も居ないし、童貞だ。
「……中々ヘビーな一撃だな。そうか彼女は居ないのか。そう言うのは自然に出来るものと思ってた」
出来ないんだよ。動かないと出来ない。出会いというのは自分からアクションを起こさないと無いんだなこれが。
「アクションを起こそうと思わなかったのか?」
うーん、そこまで自発的に行動したことは無いな。結局のところ面倒臭がり屋の俺だ、付き合うだの結婚だの、面倒なことばかりが頭を過ってしまうわけだ。彼女が出来ると車で遠出しないといけないと思うと身震いがする。
「車の運転苦手なのか?」
あぁ、そうだな。親父に車の免許取りに行かないで良いのか?って言われて、要らないって言ったぐらいだからな。あそこで親父が促さなかったら車の免許なんて一生取りに行かなかった。自動車学校では結構苦労するから気を付けろ。あと免許取っても自転車で行けるぐらいの距離しか移動しないからな。
「流石俺、興味の無いことはてんで駄目だな」
話が逸れたな。結局のところ35歳まで彼女居なくても大丈夫か?
「うーん、最初はショックだったけど、まぁ、俺の選んだ道だからな。俺が要らないなら要らないということなんだろう。性欲の方はマスターベーションで我慢するよ」
おう、そっちは未だにバリバリだから安心しろ……って15歳の俺に何言ってんだろうな♪
「本当だな♪他はどんな感じなんだ?」
実家暮らしで、そこそこ貯金があって、筋トレとランニングが趣味で、小説も書く、旅行なんかもたまに行くし、電車に乗って映画も見に行くな。良いこともあるけど悪いこともあるけど、まぁ、楽しい人生だ。
「お前がそう言うなら、楽しい人生なんだろうな」
あぁ、だから安心してくれ。未来はほのかに明るいから。
「小さな明かりでも無いよりマシだよな」
そうそう、そのぐらいが丁度良いんだよ。前が明かる過ぎてたら眩しくて仕方ないからな。
「そうだな。今日は来てくれてありがとう」
おう達者でな。
「うん、達者でな」
こうして私は15歳の私に別れを告げ、再び前を見て歩み始めた。この先どんなことがあるのか?不安でもあるが期待も充分にある。
タヌキングと15歳のタヌキング タヌキング @kibamusi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます