16.ボイスレコーダー

 俺の名前は古山音羽ふるやまとわ

 アパートに一人暮らしをしている25歳のサラリーマンだ。


 今日は中学時代の友達が家に来るというので、今は部屋の中を綺麗に掃除しているところだ。

 男の一人暮らしってのは、物が散らかるもんで、人がやってくるという時くらいしか掃除なんてしない。


 もうすぐ友達が来るとの連絡があり、俺は最後に押し入れの整頓だけしてしまおうと思って押し入れを開けると、中から何か固いものが出てきた。


「なんだ……? って、ん!?」


 なんだろうと思ってそれを拾うと、なんとそれは、俺が15年前に買った古いボイスレコーダーだったのだ。

 俺はそれを見て懐かしさに浸る。


「なっつかしいなぁ〜。これでよく録音して遊んでたっけなぁ」


 15年も前の古いボイスレコーダーのため、今はもう販売されておらず、非売品となっている。

 俺は過去の録音データが残っていないかなと思って、再生ボタンを押してみる。

 すると、ボイスレコーダーから、数秒ザザザザという砂嵐のような音が鳴った後、なんと声が聞こえてきた。


「……えっ、なんだよこれ……」


 その録音内容を聞いて、俺は全身に悪寒が走る。

 なぜなら、その録音内容は、今の俺の声で、『逃げろ逃げろ』と連呼していたからだ。

 俺はそんなセリフを録音した覚えは全くない。

 しかも、録音日時を確認すると、9月14日午前11時45分。

 今から5分後になっている。

 ボイスレコーダーの録音日時は設定で変更できない。

 つまり、これは今から5分後に録音されたものということになる。

 俺は意味が分からず、あまりに怖くなってボイスレコーダーをダンボールの中に入れて、押し入れにしまった。


 気味が悪いなぁと思いながら、友達が来るのを待っていると、それから5分後に玄関の扉がガチャっと開く音が聞こえた。

 それを聞いた瞬間、俺は何かマズいと思って、急いでさっきの押し入れに隠れた。




【解説】

古いボイスレコーダーを見つけたという主人公。だがその録音内容は、それから5分後に録音されたものだった。その上、録音内容は、自分の声で『助けて助けて』と連呼するというもの。これは、未来の自分が襲われていることを示している。

また、普通扉には鍵を閉めているものであるが、5分後に扉がガチャっと音を立てて開いたとあることから、主人公はこの後、録音内容のように何者かに襲われるということになる。

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意味が分かると怖い話 左腕サザン @sawan_sazan

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