初陣を飾る

「キシャア!」

「む!」

「今度はヘビ型の妖機ですか……」

 井上が腕を組んで呟く。

「キシャア!」

 ヘビ型の妖機が猛スピードで泉の方に向かっていく。

「……くっ!」

「キシャアア!」

 泉がバズーカ砲を構えるが、ヘビ型の妖機はにょろにょろとした独特の動きを見せる。泉は狙いをつけることが出来ない。井上が目を細める。

「厄介な動きですね……」

「くっ……めんどいな、吹っ飛ばすか」

 泉が砲撃しようとする。山寺が慌てて止める。

「き、北戸さん! 闇雲にバズーカを撃ってしまってはこの辺の地形が変わってしまいます! ここは交代してください!」

「分かった……」

「大友少佐! 『槍』に変化してください!」

「おう!」

 大友は槍に変化し、黄色のパワードスーツを着た女性の方に近づく。山寺が声をかける。

「その槍でお願いします!」

「分かりましたわ。わたくしにお任せあれ!」

 金髪のツインテールの女性が槍を取り、泉たちの前に進み出る。

「キシャア! キシャア!」

 ヘビ型の妖機が黄色のパワードスーツを着た女性の方に近づく。

「うざったいですわね……!」

「キシャアア! キシャアア!」

 ヘビ型の妖機が黄色のパワードスーツの女性の槍での鋭い刺突を食らい、動きを止めて爆発する。山寺が声を上げる。

「よし! 高藤愛たかふじあいさん! お得意の『時代劇』で会得した『突撃』がハマった! さすがは秋田の一直線ガール!」

「……時代劇と突撃って結びつくのかしら?」

 愛と呼ばれた女性が苦笑気味に首を捻る。

「正攻法という意味では一緒です!」

「そ、そうかしら? ……まあ、とりあえずはそれで良しとするわ……」

 愛が山寺の言葉に戸惑いながら頷く。

「バシャア!」

「む! 声は聴こえるが、姿が見えない……」

「……恐らくはカメレオン型の妖機ですね……」

 井上が山寺の言葉に反応する。

「バシャア!」

 妖機が凄い勢いで愛たちの方に接近していくのが気配で分かる。

「……むっ!」

「バシャアア!」

「きゃあ!」

 愛たちが思い切り吹き飛ばされる。周囲の景色に擬態した妖機の動きに皆反応することが出来ない。山寺が声をかける。

「み、皆さん、大丈夫ですか⁉」

「な、なんとかね……」

 体勢を立て直した愛が槍を構えて反撃しようとする。山寺が止める。

「高藤さん! ここは交代してください!」

「わ、分かったわ……」

「大友少佐! 『爆弾』に変化してください!」

「おうさ!」

 大友は爆弾に変化し、青色のパワードスーツを着た女性の方に近づく。山寺が声をかける。

「その爆弾を拾ってください!」

「……分かった」

 青みがかったおさげ髪の女性が爆弾を拾い、愛たちの前に進み出る。

「バシャア! バシャア!」

 カメレオン型の妖機が青色のパワードスーツを着た女性の方に接近する様子を伺わせる。

「姿が見えねえのは面倒くせえが……これなら関係ね!」

「バシャアア! バシャアア!」

 カメレオン型の妖機が青色のパワードスーツの女性が投げ込んだ爆弾での爆撃を食らい、そのまま爆発する。山寺が声を上げる。

「よし! 峰重心みねしげこころさん! 得意の『人形劇』で身に着けた『爆撃』が炸裂した! さすがは青森のボンバーガール!」

「……人形劇と爆撃って結びつくかな?」

 心と呼ばれた女性が苦笑まじりに首を傾げる。

「ともに爆発力があります!」

「そ、そうかな? ……まあ、そういうことにしておこうか……」

 心が山寺の言葉に戸惑い気味に頷く。

「ふう……」

「周辺の妖機の反応はすべて消失しました……とりあえずご苦労様です」

「は、はい……」

 井上に対し、山寺が頷く。

「あなたが作戦という演出プランを描き、遊撃隊の彼女がそれをもとに演技する……これからもこの調子でこのみちのくの平和の為に頼みます」

「は、はあ……大変そうですが……地域平和の為、頑張ります!」

 山寺が井上に向かって敬礼する。

「ぶっつけ本番にしてはよくやったのう……」

「あ、大友少佐! お疲れ様でございます!」

 山寺が戻ってきた大友にも敬礼する。

「おのれにはもうひとつ大事な仕事がある……」

「はい? もうひとつですか? それはなんでしょうか?」

「ふっ、今回の騒動で動揺したこの街の方の心を慰撫するための演劇興行じゃ! 出演をつとめるのはもちろん彼女らみちのく遊撃隊‼」

 大友が指し示した先には色違いのパワードスーツを着た六人の女性が並んでいる。

「ディレクター! ここはオレ主演で喜劇といこうぜ!」

「美桜、君はこの間も主演をやっただろう……やはりボク主演で」

「九重よう……今のタイミングでお涙頂戴の悲劇は無えだろうよ……」

 美桜が呆れたように両手を広げる。九重がやや間を置いてから答える。

「……では、『人情劇』はどうだろうか? 笑いあり涙ありの……」

「おっ! それはなかなか良いアイディアじゃねえか!」

「そ、そったらオラの人形劇を……」

「心さん、あなたの人形劇は人形が独りでに動くのが少々不気味ですわ」

 心に対して愛が告げる。心が憤慨する。

「ぶ、不気味って! そこは不思議って言って欲しいんだが⁉」

「どうやって動かしておりますの?」

「そ、それは企業秘密だ……」

 心が苦笑する。泉が口を開く。

「ここはド派手に歌劇といこうじゃないの、アタシ主演で」

「泉さん、どさくさに紛れないでくださいます? ここはわたくし主演の時代劇で……」

「……歌劇も時代劇も予算や準備期間がかかり過ぎる。間を取って私主演の活劇でいこう」

「なんだよ青葉、間を取るって!」

「え、ええっと……その辺についてはちょっとばかり検討の時間を下さい……」

 山寺が困惑気味の笑顔を浮かべながら六人に応える。

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みちのく遊撃隊! 阿弥陀乃トンマージ @amidanotonmaji

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