初陣は続く

「ワオオン!」

「む!」

「今度は大きな犬型の妖機ですね……」

 井上が冷静に呟く。

「ワン!」

 犬型の妖機が猛スピードで青葉の方に向かっていく。

「は、速い!」

 山寺が戸惑う。

「どうします? 青葉さんに対応を?」

「いえ……」

 井上の問いに対し、山寺が首を振る。

「ほう……」

「伊達仁さんも連戦は大変だと思います。それに……」

「それに?」

「色々な武器を確認しておきたい……!」

「ふむ……」

 井上が顎をさする。

「大友少佐! 『手甲』に変化してください!」

「よしきた!」

 大友は二つの手甲に変化し、赤色のパワードスーツを着た女性の方に近づく。山寺がすぐさま声をかける。

「その手甲を両手にはめて!」

「おっしゃ! オレの番だな!」

 赤みがかったショートカットの女性が両手に手甲をはめ、両の拳を突き合わせてから、青葉の前に進み出る。

「ワン! ワン!」

 犬型の妖機が嚙みつこうとする。

「躾がなっていねえなあ!」

「ワオン! ワオン!」

 犬型の妖機が赤色のパワードスーツの女性の放った見事なワンツーパンチを食らい、派手に吹っ飛ばされて、爆発する。山寺が声を上げる。

「よし! 加茂上美桜かもがみみおさん! 得意の『喜劇』で身に着けた『打撃』が炸裂した! さすが山形のツッコミガール!」

「ツッコミって……サムライとあまりに落差がねえか?」

 美桜と呼ばれた女性が不満そうに唇を尖らせる。

「カアア!」

「む!」

「今度は大きなカラス型の妖機ですね……」

 井上が空を見上げて呟く。

「カア!」

 カラス型の妖機が猛スピードで美桜の方に向かっていく。

「ちっ!」

「!」

 美桜が迎撃しようとしたが、カラス型の妖機はくちばしで美桜を少しつついた後、再び空高く舞い上がる。井上が目を細める。

「ヒット&アウェイ戦法ですか……」

「加茂上さん、大丈夫ですか⁉」

「へっ、これくらいなんともねえよ!」

 山寺の呼びかけに美桜が手を振る。

「それはなにより! ですが、ここは交代です!」

「ああん⁉」

「大友少佐! 『ライフル銃』に変化してください!」

「分かった!」

 大友はライフル銃に変化し、桃色のパワードスーツを着た女性の方に近づく。山寺がすぐさま声をかける。

「そのライフル銃なら届くはずです!」

「……了解」

 茶髪のポニーテールの女性がライフル銃を冷静に拾い上げ、美桜と青葉の前に進み出る。

「カア! カア!」

 カラス型の妖機が空から様子を伺う。

「そのデカい図体はボクにとっては良い的だ……!」

「カアア! カアア!」

 カラス型の妖機が桃色のパワードスーツの女性の放った銃撃を食らい、地上に落下して、爆発する。山寺が声を上げる。

「よし! 古地九重ふるちここのえさん! 得意の『悲劇』で習得した『射撃』が成功した! さすが福島のシューティングガール!」

「悲劇と射撃の関連性が分からないが?」

「観客のハートを射止めるということです!」

「分かったような、分からないような……まあ、一応了解しておく……」

 九重と呼ばれた女性がとりあえず頷く。ポニーテールが小さく揺れる。

「バアア!」

「む!」

「広瀬川の流れに逆らって、今度は大きな魚型の妖機ですか……」

 井上が川を見下ろしながら呟く。

「バア!」

 魚型の妖機が猛スピードで九重の方に向かっていく。

「……ふん!」

「!」

 九重が射撃するが、魚型の妖機は水中で素早い動きを見せ、射撃を難なくかわしてみせる。井上が目を細める。

「水の中なら向こうが優位ですか……」

「ちっ……」

 九重が舌打ちする。

「古地さん! ここは交代です!」

「む……了解した」

「大友少佐! 『バズーカ砲』に変化してください!」

「おうよ!」

 大友はバズーカ砲に変化し、黒色のパワードスーツを着た女性の方に近づく。山寺が即座に声をかける。

「そのバズーカ砲ならばいけるはずです!」

「分かったよ……」

 銀髪のショートボブの女性がバズーカ砲を持ち上げ、九重たちの前に進み出る。

「バア! バア!」

 魚型の妖機が川の中から様子を伺う。

「すばしっこいなら、これだね……!」

「バアア! バアア!」

 魚型の妖機が黒色のパワードスーツの女性の放った砲撃を食らい、ド派手に吹っ飛ばされて爆発する。山寺が声を上げる。

「よし! 北戸泉きたのへいずみさん! 得意の『歌劇』で体得した『砲撃』が上手くいった! さすがは岩手のブッ飛ばしガール!」

「ブッ飛ばしって……歌劇と砲撃も結びつくかな?」

 泉と呼ばれた女性が苦笑交じりで首を傾げる。

「ド派手な部分は共通しています!」

「あ、ああそう……まあ、そういうことにしておこうか……」

 泉が山寺の言葉に戸惑い気味に頷く。

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