第8話「富の真実」
「10秒」
裕也の指がキーボードを叩く。
「何をする気だ!」上條が銃を構える。
「簡単です」裕也が冷静に答える。「AIの暴走を、AIで止める」
画面に新しいコードが走る。裕也が一瞬で書き上げた、制御プログラム。
「5秒」
「星野さん、ネックレスのデータを!」
星野が端末にチップを挿入。それは単なる市場操作のデータではなく、AIの制御キーだった。
「3秒」
「上條さん」裕也が振り返る。「あなたは30年前の市場で全てを失った。でも、それは市場のせいじゃない」
「黙れ!」
「2秒」
「市場は、誰のものでもない。それは、人々の希望と欲望の結晶—」
```
[悟りの瞬間]
「富の真髄Lv.1」を獲得
全ての真実が
一つに繋がった
```
「1秒」
「実行!」
裕也がエンターキーを押し込む。スクリーンが青白い光に包まれる。
世界中の株価が、一瞬で静止した。
「これは...」上條が銃を落とす。
「AIに、新しい命令を与えました」裕也が説明する。「狂った売買を止め、市場を安定させる方向へ」
その時、ドアが開く音。
「見事だ」
七賢者たちが次々と姿を現す。柳生、森川、速水、御堂、そして—。
「私たちの目的は、これだったのよ」星野が微笑む。
「何...?」
「若き投資家を育てること」柳生が言う。「そして、市場の未来を託すこと」
「全ては、試練だったのか?」裕也の目が見開く。
「ああ」速水が頷く。「君を、次世代の守護者に選ぶための」
```
[真実の開示]
「世界の真相Lv.1」を獲得
全ての試練の意味が
明らかになった
```
「試練だと...?」
上條が笑い出す。狂気じみた笑いが、サーバールームに響く。
「ふざけるな!」彼が床から銃を拾い上げる。「これが試練?私の30年の復讐が?」
「その通りよ」御堂が前に出る。「あなたこそが、最高の試練を作り出した」
「私の小指は、確かにあの時の崩壊で失った」御堂が続ける。「でも、それは教訓となった。次世代には、より強い守護者が必要だと」
上條の手が震える。
「だから私たちは、あなたの復讐計画を...最後の試練として利用させてもらった」
「嘘だ...」
「いいえ」星野が静かに告げる。「これこそが、真実」
その時、上條の目から涙が溢れ出す。
```
[因縁の終焉]
「運命の輪Lv.1」を獲得
全ての因果が
一つの円を描いた
```
「これで、全てが終わったわけではない」
柳生が窓際に歩み寄る。夜明けの光が、東京の街を照らし始めていた。
「むしろ、ここからが始まりだ」
上條は静かに銃を下ろした。30年の怒りが、涙と共に流れ出ていく。
「世界の金融市場は、今も進化を続けている」森川が説明する。「仮想通貨、AIトレード、そして新たな投資手法」
「そう」速水が続ける。「市場を守護する者も、進化しなければならない」
裕也は端末を見つめる。世界の市場は、徐々に安定を取り戻していた。
「私の役目は、これから?」
「ああ」御堂が頷く。「新しい七賢者の一人として」
```
[新たなる目覚め]
「次世代の守護者Lv.1」を獲得
市場の未来を託される者
としての使命が芽生えた
```
「だが、気をつけろ」星野が警告する。「新たな闇が、既に動き始めている」
「何が?」
「世界規模の金融テロ」黒崎兄弟が口を開く。「それに比べれば、今回の出来事など序章に過ぎない」
「裕也」柳生が振り返る。「準備はいいか?」
裕也は新しい朝日を見つめた。
「はい」彼の目が、強い意志を宿す。「次なる戦いに、向けて」
遥か上空では、ヘリコプターが世界金融センターに向けて飛び立っていく。
新たな伝説の、幕開けだった。
(第8章・完)
Money Level Up 〜富のマスター〜 ソコニ @mi33x
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