木割れ音
織風 羊
木割れ音
雪の積もった山の林道
スノーブーツで踏みしめれば
キシキシと雪が鳴く音がする
一陣の風に枝が震え
粉雪が舞えば
がさりと雪の束が大きな枝から落ちて
白い小さな山ができる
小鳥の囀りは聞こえず
見上げれば青い空で太陽が輝いて
疲れて前のめりになって歩く私を笑っているよう
はぁはぁと白い息を吐きながら
目的は歩くだけと選んだ道
旅先の街並みを歩く時は
愛する人と出会えないかと夢を見るのに
行先を決めていない白の道を歩く時は
誰にも会いたくなく
どうか一人にしておいてくれと願う
程よく汗が滲んだ頃
木造の家の中でよく聞く
硬い音を林の中で聞く
その方を見れば一本の木
近寄りその木を掌で撫でていると
今出来たばかりのように
割れた硬い茶色の樹皮の下
気温と乾燥のせいだろうか
白と緑の裂け目を見つける
私は手袋を脱いで
その裂傷にそっと指を差し入れてみる
冬の水仕事でひび割れの入った指で
木の裂け目をなぞってみれば
まるで自分の分身に語りかけるように
その木に頬を寄せて
大丈夫まだ生きていると
透き通る風の中で
弱々しくも優しく呟いた
木割れ音 織風 羊 @orikaze
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