第45話

 これまで語られたのは、魔王の娘でありながら勇者に憧れた不思議な少女と、その不思議な少女に魅入った勇者との、摩訶不思議で奇天烈な物語。その、ほんの序章。


 やがて彼女らは、ひょんな日常を送りながらも、半分なし崩し的な形で世界の理を書き換え、神無き世界を構築する。不思議な少女は夢を叶え、少女に魅入った勇者もまた、胸に秘めたる夢を叶える。やがて二人はやりたい放題で自由気ままに、幸せな余生を過ごすのだが……。しかしそれはまだ、もう少し先の御話。


 なぁんて、テキトーなナレーションを入れてみたけれど、そんな未来の御話など神である私にだってわからない。人生とは選択の連続であるとどこかの魔王もパクって言っていたけれど、その通りだと私も思う。彼女らの未来がどうなるのかは、彼女ら自身の選択次第であるからだ。


 でもきっと、今の彼女なら大丈夫。世界をより良い方向へ導いてくれる。きっと私の分まで、もっともーっと幸せになってくれるだろうと。成長した彼女と話して、そう確信したのだ。


 だから私も、これからは彼女たちの行く末、彼女らが紡ぐ物語を君たちと一緒に黙って見守っておこうと思う。


 ……まあ、とはいいつつ、たまには手を貸しちゃうことがあるかもだけど? そこはほら、ご愛敬だよね。


 っと、そうだ。これだけは一つ、言っておかなくちゃ。


 どう? 私の娘――アリスは、とってもカッコよくてとっても可愛いでしょう? 芯があって賢くて優しくて実はしっかり者で、けれどちょっぴり見栄っ張りでやっぱりとっても可愛い。どこに出しても恥ずかしくない、私の自慢で最愛の、一人娘なんだよ。

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おまえみたいな変態が勇者なわけないだろっ!! さーかい @sakaiyuuki

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