まい・らいふ・すとーりー
@Yuzu_Remon
プロローグ
――10年後の自分
その課題作文は私に意外な印象を与えた。
10年後か……特に深く考えた事は無かったけど、普通に高校を卒業して、普通に一般企業に就職して、そのまま時を過ごすものかと。
「うーん! よくわかんないっ!」
「あーちゃんいつまでお風呂入ってるの! お母さんがいつになっても入れないんだけど? もう寝たいんだけど?」
「もうすぐ出るからー」
ふと自分の手を視界に入れると、指先の皮膚がややふにゃふにゃになっていた。つい長風呂をしてしまった。
普段は烏の行水並みに早いのだが、物事を考えているとそれに集中してしまい時間の流れを忘れる事が度々。
みんなは何て書くのかな。まあ別にどうでもいいっか。
「お母さーん、出たよー」
「もう、いつもは早いのに何やってたの?」
「何って……考え事」
「そんなの自分の部屋で考えてよー」
「へいへーい」
入り違いで母と会話を交わし自室へと向かう。
その後はいつも通りパソコンとにらめっこして一日を終える。翌日も課題に頭を悩んでいる。周りの半分は作文を書き始めているけど、中には私と同じで頭を抱える子もいた。
あまり時間も無いし、無難に将来の夢でも書いておこうかな。
休み時間の合間に課題を行っているため決断は早かった。特に将来なりたい職業も無ければ目標も無いので、昔から将来の夢はコロコロ変わっている。
しばらくすると授業開始のチャイムが鳴った。2時限目は国語の授業。これまた似たような課題で、俳句、詩、五七五のいずれから一つ作品を完成させるものだった。この中で縛りが無く簡単そうな詩を選び題材を考える。
こういうのって作文とはまた違った難しさがあるんだよね……うーん。
この日の天気は雨、友達は体調不良で欠席、考える事も多く、憂鬱だった。
「……よし! 先生、できました!」
それなりに良いものは出来たし、修正点指摘して貰ってとっとと完成させよう。
割と軽い気持ちで先生に提出した。すぐに修正を指摘されると思いきや、先生は何も話さずじっと私の詩を見つめている。
「明日夏、これは自分で書いたのか」
「はい、そうです」
その時の先生の声はいつもより低く感じた。
「お前、成長したな」
「……?」
「先生びっくりしちゃったよ。まさかこんな才能があるなんてな」
私は先生から絶賛された。
言葉の中には大げさに表現してるところもあるとは思うけど、それでも自分で書いた作品を褒められたことに達成感があった。
その詩は修正されることは無く、そのまま提出となった。
この日以来、私の中で何かが動いている。
「そうか……私って――天才だったんだ!」
「姉ちゃんいきなり大声だすなよ」
「ちょっと食事中にいきなり立たないで」
「
明日夏は学校での出来事を嬉しげに話した。
「よかったじゃない。褒められて」
「もしコンクールに出してたら優賞とってたかも」
「冗談だろ」
「は?」
「そう言えば、あーちゃんは昔から良く物語をつくったりするのが好きだったわね。おままごとだったり紙芝居だったり絵本も描いてたわね」
「……そっか。そうだよね!」
それは自分でも良く覚えてる。何かを作る事が好きで、特に物語を描いてる時が一番わくわくしていたこと。漫画もアニメも好き。ラノベも同人誌も好き。物語は私をわくわくさせてくれる。
――そして目標が出来た。いつか自分の作品を世に出してみんなに読んでもらうこと!
「――私に趣味と夢を与えてくれた漫画、ライトノベルは人生を180度変えてくれました。10年後、私は作家になりたい……いや、なってみせます!」
全学年作文発表会で私は自分自ら候補し全校生徒の前で夢を語った。後にそれが物語の幕を開ける事になる。
ちなみにこの時、私は緊張で声が小さくなってしまい、ほとんどの人に思いは伝わりませんでした。
まい・らいふ・すとーりー @Yuzu_Remon
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