隣国の公爵令嬢に婚約者を奪われたので前世の知識をフル活用して見返して差し上げましょう:短編バージョン
Crosis@デレバレ三巻発売中
隣国の公爵令嬢に婚約者を奪われたので前世の知識をフル活用して見返して差し上げましょう
「シャルロット、俺はお前との婚約を破棄させてもらう」
意味が分からない。
最初わたくしの頭に浮かんだ言葉はこれである。
隣国へと視察に行ったわたくしシャルロット・ヨハンナ・ランゲージの婚約者である第一王子カイザル・ユリウス・レオポルトは淡々とした口調でわたくしへと婚約破棄を告げる。
そして次に頭に浮かんだのは『こいつはバカなのか?』という言葉であった。
それもそのはずで今現在はわたくし十五歳の誕生日パーティーの真っ最中であるからである。
会場こそ王城であるのだが、そんな事等主役の顔に、皆が婚約破棄だと分かる形で泥を塗りたくった挙句に沼に突き落とした所業に比べれば些末なもの。
別に婚約破棄自体はどうでもいい。
理由がしっかりとしており、正当な手続きを経て婚約破棄と至るのならば謹んでお受け致しましょう。
それは、多少は今までの王家に嫁ぐ為の授業やあれやこれやの努力が水の泡になってしまうのは確かに悔しくはあるものの、それだけである。
別に第一王子であるカイザル殿下を愛しているわけでもない。
私から見ればまだまだケツの青い子供という評価であり色恋などという感情は無いに等しいのだが、結婚してから少しずつ恋心を育んでいくのも悪くは無いと思える位には真っ当な性格だったはずである。
それがどういう事か、まるでどこぞの悪役令嬢物よろしくヒロインをこっぴどく婚約破棄をする頭の弱いキャラクターそのものではないか。
確かに私から見ればカイザル殿下は頭が良いとは思っていなかった。
しかしながら中世ヨーロッパレベルで見ればカイザル殿下は普通、あるいはすこし頭がいい方だと自分に言い聞かせて蓋をしていたのも認める。
しかしながら流石のわたくしもここまでバカであるとは思わなかった。
学が無いバカならば勉強すればいい。
しかし、知能的な事となると付ける薬も無いと言われる様に治しようもないお手上げ状態である。
そんなバカ相手に今この状況等を説明していかにヤバい事をしているのかを教えた所で理解してもらえないだろう。
むしろこの様な輩は感情で動くタイプだから手に負えない。
「申し訳ございません。 いきなりの事で理解が追いつけない為、わたくしと婚約を破棄する明確な理由をお聞かせくださいませ」
それでもこのままではあまりにもわたくしの評価が悪くなりかねない為周囲へ『わたくしは何も悪くない』という楔を打つためにもカイザル殿下へと、何故わたくしが婚約破棄されなければならないのかと問いかける。
そしてわたくしが身の潔白を証明するためにカイザル殿下へ今回の婚約破棄の理由を、まだこの誕生日パーティーに集まってきて下さった貴族の方々が留まっている間に広めてほしいという算段から問いかけると、カイザル殿下は自分がわたくしに対してどれ程失礼な態度を取っているのか全く分かっていない事が、むしろこれから褒めて貰えるとでも思っているかのような御目出度い思考が透けて見える表情で語り始める。
「よくぞ聞いてくれた、シャルロットよ。 さすが元俺の婚約者である。そして今回の婚約破棄へと至る経緯であるが隣国であるシュバルツ帝国へと、グリドニア王国代表として建国パーティーへと参加した時に、そこの皇帝の長男である……」
「──ヘンドリク・シュバルツ」
「──そうそう、そんな名前であった。 そのヘンドリクが自身の婚約者である女性、マーシー・インスをあろうことか各国の代表が集まるパーティーで婚約破棄を言いあげたのだ。 しかも、マーシーがヘンドリクお気に入りの男爵家の女性、アイーダ・ウジエッリを虐めていると嘘をでっち上げた上にだっ!!」
そこまで言うとカイザル殿下はまるでヒロインを窮地から救い出したヒーローであるかの如く自慢気な態度と表情になる。
そして男性の名前はなかなか覚えない癖に女性の名前だけは忘れずに覚えて来るあたりわたくしの、既に地に落ちたカイザル殿下の好感度がさらに地中深くまで一気に下がっていく。
もはやそこら辺の下町にいる男性を適当に見繕った方が目の前のバカよりも良い男性に出会える確率は高いとすら思える程には。
「それで、どうなさいましたの?」
しかしながらそれだけでわたくしとの婚約破棄へと繋がるわけでもないので冷めた声で続きを促す。
「余りにもマーシーが可哀そうで見てられなかったのだが、そこから更に他の男性たちがアイーダをマーシーから守るように囲い、マーシーを糾弾し始めたのだが、マーシーは自身の身の潔白を主張し続けていたんだ。 しかしその態度が気に入らなかったのか騎士風の男性がマーシーへと手を上げようとした所で俺の我慢ができなくなり男性の暴力からマーシーを庇うと言ってやったんだ。 『いらないというのならば俺がもらい受ける。これ程の女性を手放すなどヘンドリク殿下は見る目が無いのだな』と。 そしてそのままの勢いでマーシーへ俺の元へ嫁いで来てくれと申し出て、マーシーがそれを受け入れたのである。 だから、シャルロットには悪いと思っているのだがそういう訳であるため婚約破棄をしなければならなくなったという訳だ。 なんてったって相手は帝国公爵家の長女でもあるからね。 第二夫人や妾などにできようはずがないのはシャルロットも分かってくれるよな」
ええ、分かりましたとも。
カイザル殿下がわたくしの想像していた以上にバカである事に。
そして、そんな虫レベルに知能が低く相手の気持ち(この場合はわたくしの気持ち)を慮る事もできず、また今の自分の行いが、先ほど悪者に仕立て上げたヘンドリク様が行った行為と何ら変わらないという事すら分からず、自分にだけ正義があると勘違いした挙句、その正義を振りかざす愚者であるという事がよーーーーく分かりましてよ。
むしろ婚姻する前に分かって本当に良かったとも言える。
もし婚姻していたのならばわたくしはこのバカが死ぬまで、このバカのケツを拭き続けなければならず、そしてそんなわたくしの事を目の上のたん瘤で可愛くない女と認識し愛人を作りまくる未来まで一瞬にして容易く想像する事ができる程の地雷男である。
そう考えるとこのバカとの婚約破棄はデメリットよりもメリットの方が余りにも大きく思えてくるのだが、それはそれ、これはこれである。
カイザル殿下のケツはカイザル殿下自らが拭いてこそだとわたくし思うんですのよ。
と、いう訳でわたくしは今日この日から、今までは世界の均衡などを気にしてあまり使わなかった前世の知識をこれでもかと生かしてチート領地改革からの圧倒的経済力と軍事力からの独立国家設立を目指し、逃がした魚がいかに大きな魚であったのか思い知らせてあげましょう。
わたくしの固有スキル『ググレカス』先生、出番です、懲らしめてやりなさい。
◆
さて、今さらながらわたくしの事を説明するのならば前世の記憶を思い出した、いわゆる転生令嬢物のヒロインのような立場といえば分かりやすいでしょうか?
そしてそんな私の固有スキルは『ググレカス』というスキルであり、効果はその名前の通り前世ではググレカス先生と呼ばれている検索エンジンを利用することができるという優れモノである。
はっきり言ってこの世界よりも下手すれば数百年以上も未来の知識を得ることができるこのスキルはチートと言わざるを得ないだろう。
まさに王妃として打って付けのスキルであったのだが、それに気付く事も無く手放す殿下が悪いのだ。
そして逃がした魚の大きさを後々気付き後悔させてやろう。
そう思うと何だか楽しくなってきた。
因みに私は既に近代兵器、いわゆる火薬を使った兵器の開発はできているので、まずは我が領地の独立と行こうではないか。
この火薬を使った兵器、銃やら大砲やら何やらに関しては予めお父様に告げており、私が王妃となった時に製作方法と共に献上する予定であったのだが、それがまさかこんな形で利用できるとは思いもよらなかった。
独立に関してはお父様も賛成、というか私以上にブチギレている為最早独立を止める事など出来ないだろう。
◆王国side
「何故、どうしてこうなってしまったのだ……」
「まぁまぁ落ち着いてくださいお父様。国王陛下でもあるお父様がそんなに落ち込んでいては家臣たちの士気も下がってしまいますよ?」
「な、元はといえばお前がシャルロットをバカな理由で婚約破棄をしたからであろうがっ!!」
我が父上でありこの国の国王陛下でもあるシュバルツ・ユリウス・レオポルトは折角この俺がわざわざ声をかけてやっているというのに、まるで今回のタリム領独立及びそれを阻止しようと王国軍を派遣し大敗した理由を俺のせいかのように唾を飛ばして激昂するではないか。
「何故そこで俺のせいになるのですか? 勝手に独立して、それに勝手に腹を立てて軍を動かし、勝手に返り討ちに遭ったのはお父様でしょう?」
「その前に婚約破棄を言い渡したのはお前であろうっ!! しかも、他国の令嬢が婚約破棄をされた事が可哀そうだという理由でだっ!! 自分が自分の婚約者に同じ事をしている事にすら気付けぬバカであったとは……。しかもその令嬢は我が王国の機密文書を盗み姿をくらます始末。どう考えても初めからお前を騙し王国内部に侵入する事が目的ではないかっ!! これでまだ自分のせいではないと思えるほど救えないバカであったとはっ!! もうよいっ!! コイツを地下牢にぶち込んでおけっ!!」
「おいっ!? 何をするっ!! 俺はこの国の王となる人物だぞ触るなっ!!」
そして、気でも狂ったのかお父様は衛兵たちに俺を地下牢へ幽閉するように命令するではないか。
どちらがバカだというのか。
将来有望であるこの俺様を幽閉するなど……それもこれも、お父様の気が狂ったのも俺が地下牢へ幽閉されるのも全てシャルロットのせいに違いない。
覚えておけよ……っ。
◆
「はっくしょんっ!!」
「どうなされました?」
「いえ、何もないわ。もしかしたらどこかの馬鹿がわたくしの悪口を言っているかもしれませんわね」
今私は我が領地の勝利に酔いしれながらバルコニーでサングラスをかけ、ツバの広い真っ白な帽子を被り足を組みながらぶどうジュースを嗜んでいる所である。
ようはかなりカッコつけていたところでそれら全てを台無しにするくしゃみをして顔を真っ赤にするのだが、執事はその事を指摘する事もせずにわたくしの心配をしてくれる。
その行動一つでカイザルが如何にダメな奴かが窺えて来るというものだ。
さて、そんな事は良くて今我が領地は王国軍を圧倒的な軍事力の差で圧勝し、晴れて独立する事ができたのである。
そして当然私の目的はカイザルに対して私という魚の大きさを教えてあげる事なので、独立だけで終わる訳が無い。
近代兵器を作るにあたって、それを作る貴金属の製造ラインも整っている訳で、そしてそれを大量生産できるという事は電気も既に使用できる環境であるという事である。
流石にテレビだの冷蔵庫だのというのは作れていないのだが、街の明かりが火から電気に変わっただけでも大違いであろう。
そして王国軍に勝利を収めたという事は、王国へ『我が領土へ攻めてきた事の賠償』という名目で多額の賠償金及び領土を差し出させる事ができているわけで、その資金と新たに手に入れた領土で、様々な日用品などを大量生産用の工場を建設予定である。
当然環境にも配慮をしてだ。
ちなみに我がタリム領が王国軍に圧勝できた理由には当然近代兵器を使用したというのもあるのだが、その他に蒸気機関車の軍事利用というものもかなり大きいだろう。
やはり物資の供給は人の手でするよりも蒸気機関車で行った方が効率的である。
そして、王国に勝利した今蒸気機関車は市民に開放しており、線路もどんどん様々な場所へ伸ばして行っている最中である。
そんな我が新興国家タリム帝国の噂を聞きつけ、王国からどんどん移住者が後を絶たず、それ即ち王国の国力低下及び我が帝国の国力増大を意味するわけだ。
もともと同じ民族でもある為、移民という程の問題は今のところ起きておらず、王国からの移住者はメリットしかない。
しかしながら、そうなれば働き口と労働者へ支払う給金の問題なのだが、まず働き口に関しては新規工場で良いとして給金を今まで通り銅貨やら金貨やらとするのは資源的にも製造費的にもコストがかかる為銀行を設立して我が一族の魔力を付与した紙幣を作り、それを帝国がバックアップしている工場やインフラ設備用に起業した会社などへ給与として配り、国民内に紙幣を浸透させていくと、国土もそこまで広くない上に硬貨よりも軽く嵩張らず持ち運びに便利という事もあってあっという間に広まっていった。
◆
そしてなんやかんやありあっという間に十年という月日が経った。
現在のわたくしは二十五歳であり、元々整った容姿である為新たに作った化粧品の力も加わり周囲からは絶世の美女やら、天女の生まれ変わりなどという噂も轟いている、というよりかはわざととどろくように裏で噂をコントロールしていた。
それもこれも全て今日この時の為である。
「おぉ、わざわざ我が王国へ来てくださってありがとうございますっ!! 過去我が国が犯した過ちにつきましては──」
今日はわたくしが王国へ十年ぶりに訪れる日であり、それに伴って王国側が盛大に祝ってくれている事になっている。
そして今は国王陛下と対面しているのだが、わたくしに会うなりコメツキムシのように頭を下げ、過去の件を謝罪するその姿を周囲に晒し、どちらが上であるかというのを見せつけている所である。
「そこにいたのかっ!!」
丁度その時、まるで想い人かと勘違いしてしまいそうになるくらい待ち焦がれた声がパーティー会場へ響き渡る。
「だれだっ!? あのバカを、カイザルをここへ連れて来たのはっ!?」
誰って、わたくしに決まっているじゃない。
今回のパーティーを王国で開催する理由がこのバカと再会する事ですもの。
予め部下に指示を出してカイザルが飛ばされた僻地から王都へ、良き配下を装って王都まで連れてくるように命令していたのだ。
そしてこのバカがいつ来るのかとわたくしは待ち焦がれておりました。
「あら? なんでこのわたくしに婚約破棄を言い渡したカイザル様がこのパーティー会場へ来ているのかしら? わたくしは平和条約を結ぶにあたってこのバカを即位させない事、王都に入らせない事、我が帝国へ入国させない事、わたくしがいる場所へ来させない事という条件を結んでいたと思うのだけれども?」
とは言える訳も無く、当然知らぬ存ぜぬ、むしろ『お前ら約束を破ったな?』と若干怒りの感情を交え、国王陛下に目線を向けて話す。
「フン、噂は聞いておるぞっ!! タリム帝国は今や近隣諸国が束になっても敵わぬほどの国力を持ち、そして想像すら出来ぬ程発展しているらしいなっ!! そして……あぁ、噂通りの美女ではないか。まさに天女という二つ名がぴったりだな。でもまさかこれら全てがこの俺様を振り向かせるための物とは……。良いだろうお前にされた屈辱は、お前の頑張りによって水に流そうではないかっ!!」
「は? 冗談でもあなたと再度婚約するなんて絶対に嫌なんですけど。それに今わたくしにはダグラス様という、カイザル殿下の弟でもある殿方と婚約しているのに、その婚約を破棄してまであなたを選ぶ理由も無いでしょうに……」
「お兄様、このパーティーは私のシャルロット様との正式な婚姻の発表の場でもあるんですよ? いくら血の繋がったお兄様といえども、そんな大切な場を壊されては流石の私も庇い切れません」
そして、わたくしの方へずかずかと大股で近づいて来るカイザルから守るように、わたくしの新たな婚約者でもあるダグラス様が前に出て苦言を呈してくれるではないか。
あぁ、カイザル殿下から婚約破棄をされた時はまだ十歳と若かったダグラス様がこんな立派な殿方になって……、わたくしは感無量である。
因みにダグラス様は我が領土が独立した時に人質という意味も込めて我が帝国に連れてきた上でわたくしの手によって、わたくし好みの男性へ洗脳……ではなく英才教育を行っていたのである。
そのおかげでこの世界よりも数百年先の知識を蓄え、更に大人の色気で堕としたという訳である。
初めは単なる人質としか思っていなかったのだがちょこちょこと子犬のようについて来るダグラス様があまりにも可愛過ぎて思わず……。
当時はわたくしの他に見知った顔がおらず、心細かったのだろう。
そんな彼が今や身長はわたくしを優に超え、身体も鍛えている為筋肉質であり、護られる存在からわたくしを護ってくれる存在にまで成長して……っ。
なんだか開けてはいけない扉が開いてしまいそうになる。
因みに、カイザル殿下はこの弟であるダグラス様の事を心底見下しており、嫌っているというのも高ポイントである。
「ダグラス……貴様っ!! 誰の許可を得てこの俺様に楯突いてやがぐへぇっ!?」
そしてカイザル様はダグラス様が静かにキレている事にも気付かず、暴言を吐きながらさらにわたくしの元へと近づこうとしたその時、ダグラス様がカイザル様の横っ面をぶん殴るではないか。
その衝撃でカイザル様は吹き飛び、殴られた本人は一体何が起きているのか理解できていないのか目を白黒させている。
「お兄様、今この私はお兄様よりも上の立場です。むしろお兄様の方こそ誰の許可を得てこの私に楯突いてきたのですか? 本来であれば許可なく私に話しかける事も許されない程、差がある筈ですが、そんな事すら理解できないからこそシャルロット様を傷付け、お父様を困らせ、王国をめちゃくちゃにしてしまったのでしょう……。一体、どれだけの人間を不幸にすれば気が済むのですか? ハッキリ言ってお兄様の現状は自業自得です」
そんなカイザル様へダグラス様はまるで可哀そうな者を見るかのような目で『いま自分に降りかかっている事全て自業自得である』と言うではないか。
「カイザル様……」
「お、シャルロットよっ!! お前だけが俺の味方だっ!! こいつらに言ってやれっ!!」
「わたくし、バカと無能は嫌いなんですの。誰だか分かります? カイザル様、貴方の事ですわよ」
そういった時のカイザル様の表情を見て、わたくしは今までの鬱憤が晴れたのであった。
◆シャルロットside
あの後カイザルは衛兵に捕らえられ、その後王家とは縁を切られて王国から追放されたとわたくしの耳に入ってきたが、追放された後もどうこうしようという気はないので後は好きに生きて行けば良いだろう。
そしてわたくしはというと、あの後正式にダグラス様と婚姻を果たし、王国は無くなりタリム帝国へと変わった影響でバタバタしたのが落ち着いた頃に男の子を身籠ったりと忙しくもおかげさまで幸せな日々を送らせて貰っている。
「夜更かしすると体調を崩してしまいますよ? もうその身体はあなた一人の身体ではないのだから」
「えぇ、そうね。すこし昔のことを思い出していんですの。そして昔を振り返ると今がとても幸せだなぁーって」
そしてわたくしは座っている椅子から立ち上がるとダグラスへと軽いキスをする。
今幸せな生活がこうして送れているという点で言えばあの時カイザル様に婚約破棄をされて良かったと思うのであった。
完
隣国の公爵令嬢に婚約者を奪われたので前世の知識をフル活用して見返して差し上げましょう:短編バージョン Crosis@デレバレ三巻発売中 @crosis7912
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