10 水底の君

プールの授業をサボる奴らに

僕は不本意にも名前を連ねた

塩素の匂いが胸を満たして

どうしようもなく息苦しい

さざ波が描く光の模様が

目を刺すほど痛く感じる


ほらおいでと君は言い

できないよと僕は言う

水底で笑う君の瞳に

僕は静かに首を振る

取り残してごめん

生きていてごめん

君が水になった

あの夏の日から

僕はプールに

入れない

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心の詩に耳を澄まして 海音まひる @mahiru_1221

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