鈴鳴る方へ、手を引いた。

江戸時代。地方の山間部にかつて存在していた柳永村には、神と語らえる力を持った「神語り」と呼ばれる人間が存在した。その中でも随一の実力を持った「花籠雪霞」。数多の神と語らい、村の繁栄をもたらした彼は、生まれつき虚弱で全盲。
誰かの手助け無しでは外出すらままならない彼の手を引くのは、一回り小さな新人従者。主に贈られ、名前の由来となった鈴の髪飾りをつけ、主の行く先を音で示し続けている。
の…だが、今日はその従者は別の仕事で外出中。今日の雪霞の散歩には、別の従者がつくことになった。